滲む青と夏風の慰め。
丘の上の教会で
猫を撫でて君が笑った。
笑っていた、昔はずっと。

黒い屋根と十字架が目立つ
丘の上の教会で
君と子供達が笑った。
笑っていた、楽しそうに。

集まっていた子供達は孤児で
だからこそ、みんな家族で。
終えぬこの幸せには
いつも夏の匂いがした。

最年長の僕と君が
守らないといけないもの。
この幸せを零してしまわぬように。

君の長髪が全てを消した。
幸せそうな顔が太陽をも隠して。
これが始まりで、これが幸せと
何故あの時に気付けなかったのだろう。

長い歩道と田園を通った先
夏の海の浜辺で
君と子供達で遊んだ。
楽しかった、夢の様に。

過ぎて行く日々は幻みたいで
だからこそ、宝物みたいで。
青写真に溶かした風景には
いつも君の姿があった。

最年長の僕と君が
癒さないといけない事。
この日常を崩してしまわぬように。

ある日に君がいない事に気付いた。
妙な胸騒ぎが身体を動かした。
集合墓地の先の向日葵畑で
君が倒れていた。
悪い夢なら醒めてくれ、なんて思ったのに。
運ばれる君を見る事しか出来なかった。

もう時間が無いって分かってるから
せめて最期の時くらい隣に居させて。

君の長髪が静かに揺れた。
作り笑いで目に涙を浮かべて。
せめて伝えきれなかった想いを言葉に。
今を逃すことなんて選択肢に無い。

君と過ごせて幸せだった
ずっと伝えられなかった
今になってごめんね

君が大好きだよ

君が笑った。

滲む青と夏風の慰め。
丘の上の教会で
猫を撫でて僕は笑った。
笑うんだ、君の代わりに。

四十九日先でも
君がずっとこの教会で過ごせるように。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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弔い、晩夏の教会

もうこの夏に君は居ない          

ずっと未完成だった作品です。

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投稿日:2023/12/27 11:28:00

文字数:703文字

カテゴリ:歌詞

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