Ａ
　何故か鉛筆が折れやすい
　何度か綺麗に削るんだけど
（ほらバッキリボッキリ）
　あっさり折れる

　多分やり方は悪くない
　見栄えも掴みも悪くないでしょ
（でもガッチリバッチリ）
　しっかり折れる

Ｂ
　一体どうすりゃいいっての
　ヤケクソに暴れる彫刻刀
　手元から飛び出た

Ｃ
　人から滴る雫がこの瞳に染み込んだ
　何時かの切れ目が埋まる（気がしたの）
　破れた紙面が教えた「傷まなくて飽きもしない」と
　気付けば投げ出してた
　机の引き出しに隠れた　鉛筆削り

Ａ２
　他人の鉛筆は折れにくい
　使えるらしくて丸いんだよね
（んでやっぱりさっぱり）
　こっちが折れた

　これはどんな画が描けるだろう？
　考え直して持ってみたけど
（あらうっかりポッキリ）
　ごっそり折れた

Ｂ２
　絶対こうすりゃいいっての
　デタラメに描いた理想像
　見返せば不細工

Ｃ２
　姿を忘れた模型は思うよりも離れてた
　中身が砕けて散った（気がしたよ）
　芯から歪んだ頭は直せなくて書けもしないよ
　何時かは出来るのかな
　昔に夢見た形の　鉛筆削り

Ｄ
　一体どうしてこんなの
　片時も放さず来たんだろう
　見ないフリしてたのに

　綺麗にしてくと決めたら
　ぶきっちょで醜い鉛筆も
　可愛いと思えた……

Ｃ３
　何時しか湛えた涙がこの瞳を洗えたら
　ひしゃげた裂け目が閉じる（気がしてさ）
　重ねたこの手の汚れは根深すぎて取れはしないけど
　逃げるのは終わりにしよう
　これから始まるワタシの　鉛筆削り


以下ひらがな


Ａ
なぜかえんぴつがおれやすい
なんどかきれいにけずるんだけど
ほらばっきりぼっきり
あっさりおれる

たぶんやりかたはわるくない
みばえもつかみもわるくないでしょ
でもがっちりばっちり
しっかりおれる

Ｂ
いったいどうすりゃいいっての
やけくそにあばれるちょうこくとう
てもとからとびでた

Ｃ
ひとからしたたるしずくが　このひとみにしみこんだ
いつかのきれめがうまる（きがしたの）
やぶれたしめんがおしえた　いたまなくてあきもしないと
きづけばなげだしてた
つくえのひきだしにかくれた　えんぴつけずり

Ａ
ひとのえんぴつはおれにくい
つかえるらしくてまるいんだよね
んでやっぱりさっぱり
こっちがおれた

これはどんなえがかけるだろう
かんがえなおしてもってみたけど
あらうっかりぽっきり
ごっそりおれた

Ｂ
ぜったいこうすりゃいいっての
でたらめにえがいたりそうぞう
みかえせばぶさいく

Ｃ
すがたをわすれたもけいは　おもうよりもはなれてた
なかみがくだけてちった（きがしたよ）
しんからゆがんだあたまは　なおせなくてかけもしないよ
いつかはできるのかな
むかしにゆめみたかたちの　えんぴつけずり

Ｄ
いったいどうしてこんなの
かたときもはなさずきたんだろう
みないふりしてたのに

きれいにしてくときめたら
ぶきっちょでみにくいえんぴつも
かわいいとおもえた

Ｃ
いつしかたたえたなみだが　このひとみをあらえたら
ひしゃげたさけめがとじる（きがしてさ）
かさねたこのてのよごれは　ねぶがすぎてとれはしないけど
にげるのはおわりにしよう
これからはじまるわたしの　えんぴつけずり