時折、車が通り過ぎる音がする。
 なんと穏やかな金曜の午後だろうか。
 以前だったら今頃は、仕事で特に金曜が一番忙しかった。へとへとになり終電ギリギリに乗れたと思いきや、車内にはこれ以上入りきらないといった状態で、カバンの中に大事な物が入っていると、それを潰されないように頑張って守ったものだ。
 七河はタバコを吸いながら最近の身の回りの事について思い出してみる。
 この1週間は大変珍しい1週間だった。
 ヴォーカロンを拾う。電車の中でも不思議な体験をする。友人との久々の電話。そしてヴォーカロンを実際に動かして話をした。 
 一体、これからどうなっていくのか。
 自分が一体何をしたいのか分からなかった。するべき事は沢山あるが、やりたい事がない。おかしな話だ。それなら死んだ方がまだましだが、まだ死にたくはない。
 やりたい事がないのに。
 でも、死ぬ準備と、やりたい事を考えるのと、どちらが面倒くさいといったら死ぬ準備だろう。そう思うとまだ死ぬのは勿体無かった。その結論に達したのは今回で33回目だ。
 七河は珍しくコンビニに入り、ビールを馬場の分を含めて2本買った。
 近々熊沢秋都が家に来るというので、色々聞いてみる事にする。
 取り敢えずは、やるべき事をやろう。
 この生活リズムになってから、夜にお酒を飲むことは無かったが、今夜は久々にビールを飲む事に決めた。

 昔の金曜の夜みたいに。

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skycafe_5-3

5話終わりです。区切るところがヘンだったか・・・!?

閲覧数:34

投稿日:2011/10/09 12:05:12

文字数:602文字

カテゴリ:小説

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