「寒くなったね」君が言ったんだ。
気付かなかった、そう言えばそうだね。
空見上げる君の隣
僕は違うこと考えていた。
春も夏も秋もずっと、手を繋いで歩いたけど
冬になって冷えた僕の手
そろそろ手を離さなくちゃ。
君は指先に触れて「冷たいね」って呟いた
少し寂しそうな声 気付かないふりしていたんだ。
君の冷えた右手を 温めることもできないから
なんかちょっと情けなくて。
これだから冬は嫌い。
せめて冷えた心は温めてあげたいと思うのに
なんで、優しい言葉一つさえ、かけてあげれないんだろう。
「元気でね」って君が言ったんだ
君は最後まで優しかった。
きっと無理して笑ってたんだね、
ごめん。
気付くのが遅かった 耳の奥で弾ける音
大事なもの 壊れてしまった。
元にはもう、戻らないんだろう。
言い訳ばかりを並べて
冬のせいにして、逃げた僕を
どうしてあの時、許してしまったの?
君の優しさが、今でもまだ、滲みるよ。
痺れるほど悴んで、
痛いくらい君が残っていて。
温かくて、苛まれて。
これだから、冬は嫌い。
春が来てもこの思いは、
染みついたままで溶けないんだろう、
いつか、また君と出会うその時までは。
その時が来ないことくらい、
わかってる、けど。
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