「何処だろ・・・ここは」
僕は記憶を失っていた。
すべての記憶を…。
「本当に、覚えてないんだね」
哀しげな表情で僕を見つめる僕そっくりな少女。
その顔は脳裏に焼きついているはずの少女…。
哀しげに…だが心配させないように微笑む。
「貴方の名前はレン──…鏡音レンって言うのよ」
「レ…ン??」
僕は何度もその名前を呟く。
「私はリンって言って、貴方の双子の姉よ」
【リン】と名乗った少女は手を前へ差し出した。
それに答えるように、少しおどおどとしながら
ぼくはその少女と握手をした───・・・
「ハイ!カット!!」
突如の大きな声。
その声は女性だった。
サングラスをかけ脚を組みなんともえらそうな態度でいすに座っている。
「お疲れ様☆」
そう言って駆け寄ってくる女性。
緑色の長いツインテールで大い目…。
ありがとうと言い、持っていたお茶をもらう。
「あれ?バカイトは?」
さっき、リンと名乗った少女がツインテールの女の子に聞く。
「そういえば…」
「あぁ、あいつならビール買いに行ったよ」
サングラスの女性は何かを飲むジェスチャーをして見せた。
「また飲むの・・・?」
と、僕。
さっきのはなんだったか・・・。
なんとなく予想がつくだろう。
そう、なぜかドラマの撮影。
提案したのは めーちゃん ことMEIKOさんである。あのサングラスの女性だ。
今はサングラスを外していつもどおりの格好であるが・・・。
「リン、ミク、レン、探してきて」
いつも通りの口調。
リンはさっき言ったとおりの僕の双子の姉。
ミク姉は緑色のツインテールの女性だ。
バカイト ことKAITOは青い髪をした男性だ。
「えぇ~・・・めんどくさいよぉ」
「バカイトの事だし、今に帰ってくるよ」
ミク姉とリンの全力拒否。
こうなると今に、僕一人だけ探しに行くはめに───…。
「じゃぁレン、GO!!」
「……はぁ~い」
多少の不満があるものの仕方ない。
僕は家のドアを空けて外へと探しに行く。
やれやれ…何でこうなったんだろう。
多分、原因はめーちゃんがドラマの撮影をする、と言ったところからだろう。
一回、回想してみることにしよう…
第一話 終わり 続く
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