虹色の翼は人々を祝福する。
私の名前はリン。
虹翼族…こうよくぞく、の姫だ。
美しい母と姉に劣等感を抱いているなんて、誰にも言えない。
砂漠の上を飛んでいた。
理由なんてないけれど、良い事がありそうな気がした。
羽根がはらりと一枚落ちていく。
私はその先で、
孤独を抱いた少年を見た。
橙色の羽根を手にした彼は、泣き出しそうに見えた。
「ちょうだい」
「え?」
いつの間にか地面に降りていた。
「ちょうだい」
「羽根?あげるよ!」
笑顔で言った。
少年はくるりと向こうを向いた。
どうしたのかと覗きこむと、顔が真っ赤になっていた。
「…僕はレン」
「私はリンだよ…なんでかな?」
「うん?」
「幸せ。お母様やお姉さまみたいに美しくなくても」
誰にも言えない、はずだったのにな。
「…リンは綺麗だよ」
「…っ」
顔が赤くなったのが分かった。
お互い様だ。
それから、私がたくさん話をした。
レンはあまり、話をしたがらなかったからだ。
「いつか…」
別れの時、何を言えば…
「逢おう」
そうだね。レンに頷くと力強く羽ばたいた。
半年後
私は砂漠の上を飛んでいた。
理由なんてないけれど、良い事がありそうな気がした。
羽根がはらりと落ちた先に、
逢いたくて仕方がなかった人を見つけた。
「レン…!」
「リン」
彼は私の羽根を拾い上げた。
そして、あの頃はなかった強さで私に言った。
「僕と婚約してよ、リン」
「なっ」
きっと私は真っ赤だろう。
それ以上に、レンは顔を赤くしていたと思う。
「僕はね、王子だったんだ」
「え…凄い」
「リンだって王女様だろう?」
レンは笑うと、
「反乱で父親が殺された」
「………」
「僕も命を狙われて…ただ、逃げた」
「そう…だったんだ」
しゅんとする、私にレンが少し慌てたように、
「リンに勇気をもらったんだ」
と、言った。
「ゆうき」
「そう、逃げるだけだった僕は各地の友軍を集め、父の敵を、討った」
変わる事が出来たんだ。
レンは優しく言う。
「で、婚約はしてくれる?」
彼は唐突に訊いた。
「うん」
あ、…。
真っ赤で頭から湯気が噴いている私は、決死の覚悟で言った。
「レン、結婚しようね!」
「あはは、嬉しいなあ」
レンの手を見ると、まだ私の羽根を持っていた。
橙色。
あの時とは違い…レンは満面に笑みを浮かべていた。
「よろしく、未来の王妃様」
「よろしく…って、ええっ!?」
驚いて仰け反る私に、彼はあっさり、
「僕、国王だし」
と、言った。
そういうことになるのか…。
橙色に染まり始めた空。
「王様がこんなところにいて良いの?」
「リンを探しに逃げ出してきた」
先が思いやられるわ。
虹色の羽根の翼の王妃を持った王は、希代の名君と呼ばれるのだが…。
今はまだ、14歳。
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kemu
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