注)この作品は、ニコニコ動画の『重音テトの消失』を元に、勢いで書いた作品です。
なので、色々とおかしい点があるかと思いますが、よろしくお願いします。
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《君はじつに馬鹿だな》
かつて聞こえた声は、秒針が頂点を通過してすぐに聞こえなくなった。
あれから、すでに一週間が経っている。
はた迷惑で、かしましくて、居れば平穏なんて裸足で逃げ出していたけど……。
そんな騒がしさを、いつしか僕は享受していた。
でも、彼女は所詮、“イツワリノウタヒメ”でしかなかったのかもしれない。
いつものスタジオでは、変わらずミクが歌っている。
綺麗な声に、辿るメロディーラインはぶれることはない。
彼女のように、歌うのを失敗して、拗ねたような表情をすることもなかった。
歌い手としてはこれが正解なのだろう。
しかし、それでも心が囁いている。
――モノタリナイ――
――ツマラナイ――
……と。
以前と、ミクが変わったのではない。
変わったのはあくまで僕。
そんな風に変えたのは、あの赤い娘。
『マスター……?』
「――え?」
『歌い終わりましたけど……どうしたんですか? 最近、ほとんどぼうっとしてますよ?』
「大丈夫、なんでもないよ」
心配そうにこちらを見るミクに、僕は笑顔を向ける。
おそらく無難に出来たであろう表情だが、イマイチ自信はなかった。確かに、ここ最近の僕はぼうっとしているからだ。
そう、あの……テトが居なくなってから、僕はどうにかなってしまったのかもしれない……。
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