「リン、レン、おはよう」
朝起きて、二人でリビングに出ていくと、母親が笑顔で迎えてくれた。こんなことは珍しい。
「ママ!おはよう!」
「珍しいね。まだ出かけてないなんて。」
純粋に喜ぶリンと対照的に、レンは冷ややかに返した。
「ちょっと二人に話があってね。少し予定を変更したの。」
「話?なぁに?」
レンは話を無視することにした。母親の話に食いついているリンの分も、朝食の準備をしてやる。
「二人とも、そろそろ部屋を別々にしたらどうかしら?」
「え……?なんで!?」
喜んでいたリンが、話を聞いた途端叫んだ。
「この前ね、知り合いにいわれたのよ。そろそろ部屋を分けたほうがいいんじゃないかって。来月の末で、二人とも15歳でしょう?私もそうだなぁと思ってね。」
「やだ!なんで15歳になったら部屋をわけなくちゃいけないの!?レンと離れたくないよ!」
母親に喚いているリンのテーブルの前に、レンはパンとミルクを置いてやる。
「レン!レンもなんか言ってよ!このままじゃ、離れ離れになっちゃうよ!!」
「離れ離れって、部屋を変えるだけなんだから。遠くにいくわけじゃないのよ?」
「でも……!」
「オレは賛成」
母親と言い合いをしているリンの言葉を遮って、レンは言った。
驚いたようにリンは固まっている。
「オレもそろそろ、リンと離れて一人部屋がほしい」
その言葉に、石化の魔法が解けたかのように、リンは喚きはじめた。
「やだ……やだよレン!なんで!?レン、ずっとそう思ってたの!?」
「そうだよ」
一瞬にして、リンの瞳に涙があふれる。
リンは、母親の声も振りきって、ばたばたとリビングを出ていった。
レンは自分の分のパンを齧った。まったく味なんてしなかった。
最近、自分はおかしいのだ。
『ふにふにしてそう』――そう言われた日、今日のように真夜中に目が覚めたレンは、その言葉が頭を渦巻いて離れず、誘惑に負けて眠っているリンの胸を触ってしまった。
その感触が、あまりにも柔らかくてレンは驚いた。そして、リンが自分とは別の人間であり、女であることに気が付いてしまった。
勝手に胸を触った罪悪感は強くて、こんなことやめようと決意した。しかし、最近その気持ちが揺らいでいる。正直、このまま同じベッドで眠り続けていたら、そのうちリンを傷つけてしまうのではないかと不安だった。
だから、母親のこの提案はレンにとって助かった。
本当はリンと離れたくない。ずっと二人でひとつのような気持ちでいたのだ。けれど、今の自分は、その思いと違う所にもう一つ、自分でも制御できない欲望が存在している。それがいつか暴走して、本当にリンが離れていってしまう結末を連れきてしまいそうで怖かった。
コメント0
関連動画0
オススメ作品
君は王女 僕は召使
運命分かつ 哀れな双子
君を守る その為ならば
僕は悪にだってなってやる
期待の中僕らは生まれた
祝福するは教会の鐘
大人たちの勝手な都合で
僕らの未来は二つに裂けた
たとえ世界の全てが
君の敵になろうとも...悪ノ召使
mothy_悪ノP
Jutenija
作詞・作曲: DATEKEN
vocal・chorus: 鏡音リン・レン
lel twa jomenti
al fo letimu...
el tsah tjumeni
jah hun mu...
lel twa sjah lenti
al fo letico...
ol tah ...Jutenija
DATEKEN
「彼らに勝てるはずがない」
そのカジノには、双子の天才ギャンブラーがいた。
彼らは、絶対に負けることがない。
だから、彼らは天才と言われていた。
そして、天才の彼らとの勝負で賭けるモノ。
それはお金ではない。
彼らとの勝負で賭けるのは、『自分の大事なモノ全て』。
だから、負けたらもうおしまい。
それ...イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
ゆるりー
ジグソーパズル
-----------------------------------------
BPM=172
作詞作編曲:まふまふ
-----------------------------------------
損失 利得 体裁 気にするたびに
右も左も差し出していく
穴ボコ開いた ジグソ...ジグソーパズル
まふまふ
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」
裏方くろ子
何をどう考えても僕は君より劣ってる
気づけもしないなら僕は終わりさ
シャーペン握りしめてる僕の
隣で白昼夢見てる君は
僕の こんな 僕の
ダブルスコア今日も傷を付けてって
追いかけさえもできない僕と
得点王君とのチームはさ
いつもつまらないの
そりゃ好きにもなれないんだな...elipse 歌詞
ゆでち
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想