沈黙したフォルダ
夢から覚めた僕は
両手が空っぽなことに初めて気づいた
もっとたくさん持っていたはずなのに
夢の中に置いてけぼりにしてしまったみたいだ
地下鉄の軋み
割り込むように流れるMP3
君に会いに来たんだ
名前も知らないのに
生臭い都会の風
ぽっかり空いた落とし穴みたいな空
手を伸ばすと戻れない気がして
あっけにとられた僕は呆けた顔で
立ち止まってるから誰かに舌打ちをされた
旅に出たのは
大した理由なんてなくて
存外に難しいことは無くて
わかったことは
どこまで行っても
僕は空っぽのままだったってこと
たったそれだけのこと
どこかで君は歌ってるだろう
僕は追いかけているだけだ
君の足跡は続いている
遙か遠い地平線の彼方
夕陽が落ちる向こうから
朝日が昇る向こうまで
忙しない日々は砂時計の砂のように
何食わぬ顔で命を削っていく
ひっくり返したところで何も戻ってこない
嘘つきだ 誰も彼も
悪態をついても悲しいだけだ
なんだかとても悲しいだけだ
君の言葉が聞きたい
もっと もっと もっと
そうすれば僕は変われるだろうか
僕はもう何も思い出せない
僕はもう何もわからない
わからないんだ
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