記憶が始まるのは、白い病室。
本に埋もれたベッドの中。
笑うキミは私を見て言った。

「はじめまして 僕のせかい」

0と1とで始まる私の命。

『ハジメマシテ ワタシノイノチ』

今日からここがキミと僕の世界だよと
キミは笑って言う。
この狭い世界だけが私とキミの世界。

だけどそれは
果てしない物語の始まりの風景。

白いベッドの中。
キミは幾つもの夢を見る。

まだ見ぬ果ての世界。
いつか飛ぶ空の下。

芳しい香りの花々。
遥か昔の王様たちの墓所。
大地の怒りを感じる山々。

そしてそこで

走るキミ。
歌うキミ。
笑うキミ。


全部全部、見てみたい。
体ごと感じてみたい。

それは夢でしょうか?
叶わぬ夢なのでしょうか?

夢を敷き詰めたベッドから
起き上がることも出来ないキミと
0と1で出来た私では。

空を飛ぶことも、乾いた大地を走ることも。

大きな声で歌うことも。

全て叶わぬ夢、なのでしょうか。


そして突然に最後の風景。

白い部屋の窓の外。

部屋よりももっと深く白い光。


閃光の後。






私は深い眠りに落ちる。


キミの小さな呟きだけは忘れないまま。

「Hallo,Planet」

そのコエだけは忘れないまま。
                             A suivre..

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Hallo,Planet

いまさら*ハロー、プラネット。を聞きまして、
がーっとなった気持ちを表現してみようかと。

閲覧数:119

投稿日:2010/06/01 02:11:39

文字数:574文字

カテゴリ:小説

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