[第9話]~恋路
なぜだか、りんとめい子が客間から出て行った。
めい子曰く、みくさんが私に話があるようだ。
「めい子が、みくさんが私に話したいことがあると言っておりましたが。」
私は、恐る恐る、目の前にいる彼女に問う。
みくさんは、目を伏せて、言い出しにくそうに話しだす。
「・・・お凛さんがまだ心残りなのですか…?」
そのことを持ち出されるとは思ってもみなかった。
私は、言葉を失い、それでも、本心を突かれていることに少し苛ついた。
また、みくさんが口を開く。
「・・・こんな言い方…駄目だと思っています。」
声が震えている。
これから彼女の言おうとしていることに、私は身を震わせた。
「連さんが…、やっと元気になられて…、お凛さんが亡くなって元気を無くされていた連さんが、やっと元気になったのに…。どうしてりんさんを拾ったりするんですか!」
みくさんは、泣いているのだろうか。
先ほどより声を詰まらせて、けれども勢い込んで言った。
「りんさんとお凛さんを重ねて何になるのですか…。」
何か言わないといけないのだろう。
でも、その質問には今の私は答えられなかった。
「りんが、いなければいいように、言うんですね…。」
私は、声を絞り出して、言った。
「だってそうじゃありませんか!りんさんさえ現れなければ…」
彼女の言葉を遮るようにして、私は、だんと畳を叩いた。
こんなことして、後がどうなるのか、なんて考えはなかった。
ただ、りんがいらないと言われたのに腹が立った。
みくさんは、私の行動に大層驚いたようだ。
「すみません。」
と、私は短く謝った。
みくさんが、今にも零れ落ちそうな涙を溜めた目で私を見る。
それを見ていられなくて、わたしは目を逸らした。
「…邪魔なんです…。」
私は、逸らした目をまたみくさんへと向ける。
「りんさんが、いたら…、連さんは、りんさんしか見てない。私は…」
途中で途切れた、みくさんの綺麗な声。
彼女はするりと私に寄り添う。
「好きなのです…。」
その時、突然客間の襖が開いた。
* * * * * * * *
めい子さんに連れられて、私は初音家の庭に居た。
「どうして私たちが、客間を出なければいけなかったんですか?」
問いかけてもなにも応じない、めい子さん。
「答えてください!どうしてみくさんと連を二人きりにしなければいけないのか!」
めい子さんは、袖を握りしめる。背中越しに、めい子さんは答えた。
「みくさんは、若旦那が好きなんです。」
「そんなこと知ってます!」
しんと静まる、庭。蝉の声が、うるさい。
「何かほかの目的があるのでしょう。」
私は、息を整えて言った。
めい子さんが、唇を噛んで、一層袂を握りしめるのが背中越しでも判る。
「かいとさんが、みくさんを好きだといいましたね。」
私は、「はい」と冷静に返す。
「けれども、みくさんは、若旦那が好き。」
「めい子さんは、かいとさんが好き。」
私がそう言うと、めい子さんは、驚いてこちらへ向き直った。
そして目を伏せ、こう言った。
「若旦那とみくさんの縁談がうまくいけば、かいとさんは私を、みてくれます…。」
どんなに優しい、めい子さんでも人間だ。そういう感情は、皆にあるものだから。
でも…、
「そんなの、かいとさんに振り向いてもらえるよう、どうにかしたらいいじゃないですか!」
私は、初音家の屋敷へもう1度上がり、客間へ向かった。
”私は、連に、お凛さんの生き写しとしか、見られてないのに!”
怒りを胸に、私は、客間の襖を開いた。
コメント1
関連動画0
オススメ作品
【A】
闇は深く 何も見えない
意識感じ もがくこころ
遠く聴こえ 何か叫ぶ
俺はここにいる 声がでない
【B】
ただただもがくだけの世界
目指すことさえ許されないよ
【サビ】
光がほしい 闇を照らす...はばたき(鳥の歌)
つち(fullmoon)
「彼らに勝てるはずがない」
そのカジノには、双子の天才ギャンブラーがいた。
彼らは、絶対に負けることがない。
だから、彼らは天才と言われていた。
そして、天才の彼らとの勝負で賭けるモノ。
それはお金ではない。
彼らとの勝負で賭けるのは、『自分の大事なモノ全て』。
だから、負けたらもうおしまい。
それ...イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
ゆるりー
おはよう!モーニン!
全ての星が輝く夜が始まった!
ここは入り口 独りが集まる遊園地
朝まで遊ぼう ここでは皆が友達さ
さあ行こう! ネバーランドが終わるまで
案内人のオモチャの兵隊 トテチテ歩けば
音楽隊 灯りの上で奏でる星とオーロラのミュージック
大人も子供も皆が楽しめる
ほら、おばあさんもジェ...☆ ネバーランドが終わるまで
那薇
chocolate box
作詞:dezzy(一億円P)
作曲:dezzy(一億円P)
R
なんかいつも眠そうだし
なんかいつもつまんなそうだし
なんかいつもヤバそうだし
なんかいつもスマホいじってるし
ホントはテンション高いのに
アタシといると超低いし...【歌詞】chocolate box
dezzy(一億円P)
ハローディストピア
----------------------------
BPM=200→152→200
作詞作編曲:まふまふ
----------------------------
ぱっぱらぱーで唱えましょう どんな願いも叶えましょう
よい子はきっと皆勤賞 冤罪人の解体ショー
雲外蒼天ユート...ハローディストピア
まふまふ
むかしむかしあるところに
悪逆非道の王国の
頂点に君臨するは
齢十四の王女様
絢爛豪華な調度品
顔のよく似た召使
愛馬の名前はジョセフィーヌ
全てが全て彼女のもの
お金が足りなくなったなら
愚民どもから搾りとれ...悪ノ娘
mothy_悪ノP
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
しるる
ご意見・ご感想
私は、がんばれよの意味がわかりますよwww
小説は、自分が人物を動かしてるのではなく、人物が勝手に動いて、勝手に物語になるんだとおもってますからww
個人的には、めーちゃんを応援します!ww
2012/03/24 11:35:03
イズミ草
そうなんです!
勝手に動き回って、こっちが大変だろう、この野郎、ってなります。www
私もめい子の恋が、応援したくなりますねー…。
ある意味、1番かわいそうな人なので…。
2012/03/24 11:39:25