!! CAUTION !!
これは悪ノP様の言わずとしれた名作「悪ノ娘」と「悪ノ召使」を見て感動した上月がかってに妄想を爆発させたそのなれの果てです。
・当然の事ながら悪ノP様とは何の関係もありません。
・勝手な解釈を多分に含みます。
・ハッピーエンドじゃありません。(リグレットとの関連も無いものとしています)
・泣けません。
・気付けば長文。(つまり、要領が悪い)
以上の事項をご理解いただけた方は読んでみて下さい。
『悪くて可哀想な双子』
むかしむかしあるところにとても大きな国がありました。広大な領地は王さまの絶対的な権力のもとで支配されています。その王さまと言うのが、我が儘でごうつくばりで気が荒く乱暴だと評判の暴君だったのです。
国民は重すぎる税金のために苦しい生活を強いられ、毎日働くのでへとへとになって王さまにたてつこうという力すら残っていません。しかし、この場合は残っていなくてよかったのだと言ったほうが良さそうです。なぜなら王さまにたてついた数少ない血気盛んな人たちはみんな、強力な兵に捕らえられて、家族もろともがみんなのまえでとびきり残酷な方法で殺されて、そしてその無惨な死体は見せしめとして腐って嫌な臭いがするようになるまで街の広場の真ん中に吊るされる事になったからです。
そうやって国民から搾り取ったお金を王さまは自分のためにばかり使いました。その大きなお城の中は何処もかしこも何人もの職人を集めてきて作らせた凝った装飾が施され、至るところに貴重な絵画や壺、王さまが狩りで仕留めてきた動物の頭の剥製や遠くの国から取り寄せてきた珍しい品々が惜し気もなく配置されています。派手な事が好きな人でしたから、毎晩のようにパーティーを開いて夜がふけるまでばか騒ぎをしていました。
王さまの国の軍隊はとても強く、戦争で負けたことはなく、そして戦争が好きでした。今の王さまのお妃さまというのももともとは隣の小さな国の美しいと評判のお妃さまで、それを聞いた王さまがその美しいお妃さまを欲しくなって、その国につまらない事を言いがかりにして戦争をしかけて征服し、無理矢理に自分のお妃さまにしたのでした。お妃さまは王さまに逆らって殺されるのがとても恐くて最初のうちはびくびくしていましたが、次第に贅沢な暮らしになれ、昔の優しかった面影も今はみることができないくらい高慢ちきになりました。そしてもちろん王さまにはお妃さま以外にもたくさんの若くて美しい愛人がいたのです。
そんな王さまとお妃さまとの間に子供が産まれました。それもとても可愛らし男の子と女の子を二人いっぺんにです。王さまはとても喜んで今までのどんな国だってしたことがないくらい盛大なお祝いを何日も続けました。高らかに鳴り渡る教会の鐘は祝福のようにしか聞こえません。お姉さんはリン、弟はレンと名付けられました。
そんな狂ったようなお祝いの中でも王さまの側近たちの間ではこんなお話が盛んに繰り返されました。どちらが王さまの後を継ぐのだろうかという事です。この国の決まりでは先に生まれた方が王さまになるという事しか決まっていて、それは男も女も関係ないということになっています。しかし、みんな心のどこかでは王さまは男がなるべきだと思っていました。それでも、いつもなら女の子が最初に生まれても最初だからと諦めていたのですが、今回の場合は、たしかに女の子の方が先に生まれてきたのですが、殆ど同時と言ってもいいくらいなのですから、みんなでそういって主張すれば男の子を王様にすることだって十分にできたのです。そして大抵の人はそうするべきだと思っていました。だから、二人への誕生日の贈り物は、レンの方がちょっとだけ多かったのです。しかし、最初はそんな事を言っていたのが嘘のように感じられるようになるまで長くはかかりませんでした。
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