グースリの調べ軽やかに 雪深き夜の暖炉で語る
進歩と迷信糾える 今が昔の歌奇譚
西を彷徨く赤気に憑かれた道士の横たわりし地
津々浦々に鯨波の声 鈍器と刃物が翻る
異形の鷲は引き裂かれ 玉の冠は畑に落ちた
交差する月の麓から 鉄路は延びて竜の背を衝く
聳え立つ夢の統治下に 熱鉛の雨降り注ぐ夜は
羊歯の花咲く禿山で 悪霊たちが仲間と踊る
遍く民の栄光の 足下に広がる鉄火の巷
理知の描いた陰翳は 詩的自然の夜の側面
砦の庭に鎮座する 玻璃の棺の朽ちぬ屍は
命あらたむる牙を剥き その血承けるは獅子と鉄人
奈落牽く凍土の将 魔の炯眼を鎖すは聖者
無限軌道が沃野を抉る 地は祈られて大蛇を呑む
幻溢れる映景に 硝煙の雲立ち昇る日は
往く手を塞ぐ魔の森で 乙女と老婆が骨を数える
蠢く影が身を這って 予感に震えるまがねの屏風
敲の音が響くのは 夢から覚ます破城槌
宴の生命の水は髭伝い 大河となって海へ流れる
叙事詩は波に磨かれて 琥珀となって鈍く輝く
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グースリのしらべかろやかに ゆきふかきよのペチカでかたる
しんぽとめいしんあざなえる いまがむかしのうたものがたり
にしをうろつくオーロラに つかれたどうしのよこたわりしち
つつうらうらにときのこえ どんきとはものがひるがえる
いぎょうのわしはひきさかれ たまのかむりははたけにおちた
こうさするつきのふもとから てつろはのびてりゅうのせをつく
そびえたつゆめのとうちかに ねつえんのあめふりそそぐよは
しだのはなさくはげやまで あくりょうたちがなかまとおどる
あまねくたみのえいこうの そっかにひろがるてっかのちまた
りちのえがいたいんえいは してきしぜんのよるのそくめん
とりでのにわにちんざする はりのひつぎのくちぬかばねは
いのちあらたむるきばをむき そのちうけるはししとてつじん
タルタロスひくツンドラのしょう まのけいがんをとざすはせいじゃ
むげんきどうがよくやをえぐる ちはいのられてうわばみをのむ
まぼろしあふれるえいけいに しょうえんのくもたちのぼるひは
ゆくてをふさぐまのもりで おとめとろうばがほねをかぞえる
うごめくかげがみをはって よかんにふるえるまがねのびょうぶ
ノックのおとがひびくのは ゆめからさますはじょうつい
うたげのヴォトカはひげつたい たいがとなってうみへながれる
じょじしはなみにみがかれて こはくとなってにぶくかがやく
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