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百の鬼は夜、道を行く
万の魔は朝、殿に伏す
神居まさぬ月に 鳥居と社を侵して宴し
聖醒めぬ日に 取り食う供物で徒に遊ぶ
村裂きて漫歩した あやしの隊列は
代々の果てに今 都を闊歩する
百の鬼は夜、道を行く
万の魔は朝、殿に伏す
稔環相分かつ 異郷の祭灼く 魔星の煌めき
詐欺師の提灯 舌出し嘯く「南瓜...破漏陰野曲(はろういんやきょく)
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屑籠から墓場まで 君を探して回る
平坦な道ではないが 得るものは何もない
手回し式の大都市は いつになく勝手だ
架空の臓器から放つ 毛だらけの光線
痺れるロックや切ないラブソングなら
残念だけどどこか余所を当たってくれ
無駄口を叩き鳴らせ 法螺を吹き鳴らせ
そんなふざけた曲しか 俺は知りやしない
...固茹でファンタスマゴリア(かたゆでファンタスマゴリア)
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グースリの調べ軽やかに 雪深き夜の暖炉で語る
進歩と迷信糾える 今が昔の歌奇譚
西を彷徨く赤気に憑かれた道士の横たわりし地
津々浦々に鯨波の声 鈍器と刃物が翻る
異形の鷲は引き裂かれ 玉の冠は畑に落ちた
交差する月の麓から 鉄路は延びて竜の背を衝く
聳え立つ夢の統治下に 熱鉛の雨降り注ぐ夜は
羊歯の...星影オロシャ酩泥歌(ほしかげオロシャめいでいか)
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青嵐吹くと帰還する 夜叉の約束 沈む鐘
遊塞虚実 卦を裏返し 辺鄙な神秘の門扉を拓け
酌めども尽きぬ迷妄の底に うねる塊目籠で浚う
抜けば玉散る文化包丁で 大暗黒を吊るし切り
滋味豊良たる肉盛りて 御伽の骨の間から見る
理異なる深淵科学 覗く僕らは、かわり異形
君の人魂角燈にして 渾沌の途を鼻歌交じ...時重に撓んだ古き不可思議(じじゅうにたわんだふるきふかしぎ)
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袂に入れた壊れたてのラヂオからは 軽い雑音混じりに霊脈の渋滞情報。
あの頂からこの陵へ、その社からかの城へ、転がり流れ跳ねて這いずる。
蹇蹇で山路を下る青銅の足は 城門を開け天の尾を踏む。
渦煙燻らす男を蔭に宿らせ 黄昏時に点くことを逡巡し続ける街燈。
その根は人竜草の胎児 電気と養分を吸収し 死霊...電奇の送り火(でんきのおくりび)
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輪廻せぬ聖者の墓は
輪廻する風車の中に。
梵天塔の如き置き石
凍てる軌条を軋ます寂
宵の森から虚な警笛
時に客車を薙ぐ歌は 髑髏にくるむ年代記
死罪の負債 司祭の不在 人の望みの綻びよ
隕鉄の車体に泳ぐは
黒々と巨大な魚。
紛い仏さえガリリと削り...北瞑泉路紀行(ほくめいせんろきこう)
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首がもげても心はやまぬ 日より月より天狗茸
鶏弾いて小銭を埋めて 位牌・擂粉木・砂時計
お前とお前とお前の肘は 魚目掛けて花開く
卵捨てれば跳ね返る おどろおどろし浅孵り
鉄槌持って散歩する 背中の音は旧字体
猫柳 眉を逆立て 睨むのは 電話を置いた 黄色い破れ
あまねく胤は聖なるかなと 唄う子供が...砂男の眼鏡(すなおとこのめがね)
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九天の則に学ぶ 制動と歯車と鋼鉄の姫
身と声の際に座し 音を擬うどこまでも
活況の市に朗々と 立つ民草の生動を鼓舞し
荒涼の死地に蕭々と 往く御軍の栄光を慰撫する
執着を歌い 自我を纏い 虚数を抱く 偶像は
東亜の共和に絡みつく 御國の志に手を挙げる
五星の声を写す 電気と空気と蒸気の巫
忘れし歌の...歌楽理異諷近代誌(からくりイフきんだいし)