「L、R。任務よ。」
言葉と共に投げ出された資料には緑の髪の儚げな少女が写っていた。
「OK、任せろ」
「1週間でケリつけてあげるわ」
カツ、コツと2人分の軽やかな足音が遠ざかっていく。
ゆったりとした黒い椅子の上で部屋に残された女は苦笑をこぼす。
「腕は確かだけど、あとは上司に対する言葉遣いかしらね」
薄暗く、煙草の匂いと酒の匂いが染み付いた部屋から2人は動き出した。
窓のそばで小鳥を眺めるのが毎日の習慣となってしまった。
きらびやかな洋服や重たいだけの宝石達に全く興味はなかった。それでも歌う度増え続ける愛でられない物達。
「可哀想ね」
全てを諦めた私なんかのところに来てしまって。
空を楽しそうに、自由に羽ばたく鳥が羨ましくて仕方がない。
コンコン、と二回ドアを叩く音がする。何だろう?いつもはこの時間には来ないのに。
「どうぞ。」
ガチャ、とノブを回して入って来たのはいつものメイドと見慣れない顔だった。
「失礼します。」
深く頭を下げて、お辞儀をするとサラリと少女の金髪が揺れる。
「今日から、ミク様の専属メイドとなりました、リンと申します」
口調に似合わないまだ幼げな容姿で、にっこりと微笑むリンはとても可愛らしく見えた。
「よろしく」
にっこりと私も笑顔を返す。
「では、私はこれで。リン、失礼のないように」
「はい」
無表情のまま出ていったメイドはいつも無愛想でつまらなかった。まぁ、きっとお父様がそうするように言い付けたんだろうけど。
でもリンは笑顔で私に接する。どうして?
「ミク様、朝食は何がよろしいですか?」
驚いた。リンは私と会話することを許されている。
「何でもいいわ。そんなことより、あなたは何者なの?」
リンは笑顔を崩さない。
「ご心配には及びません。この部屋の監視カメラには細工をさせて頂きました」
「・・・細工?」
一瞬、何を言っているのか意味が分からなかった。
「はい、そうでもしないとミク様とゆっくりお話が出来そうにありませんでしたので。」
「・・・話って」
「あなたをここから連れ去りに来ました。」
こんな、私よりも幼い少女が?信じられない。
「それは、誘拐しにきたってこと?」
「いいえ、あなたをこの鳥籠から出すだけです。あとは、自由にお好きなことを。」
自由に・・・いつも羨ましく思っていた鳥のようになれる?
「本当に・・・自由になれるの?」
「私は嘘をつきますが、あなたにはつきません」
どういう意味か、わからない。リンを信じていいのか、悪いのかも。でも、このチャンスを逃せば私はきっと・・・永遠に鳥籠の中、お父様だけを喜ばせて生きるのだろう。それだけは、嫌。
「・・・私、あなたに賭けるわ。」
不敵な笑みを浮かべたリンは手を差し出した。
「1週間後に作戦は決行されるわ。それまで、よろしく。」
固く、手を握り合った。
コメント1
関連動画0
オススメ作品
またたく赤い羽根 あなたとの時間と私をつなぐ
からめたやさしい目 あたたかな愛たちよりそう歌も
「待って!待って!行かないで。」冷えた手元震える声
「きっと!ずっと!変わらない。」落ちたしずくそっと抱きしめ
まだ夢の最中で 主役が僕の都合のいい世界見てた
真の愛に触れられ 花束抱え満開に咲かす時まで...夢の途中 歌詞
ヨノハナ
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」
裏方くろ子
私はボーカロイド!人間に憧れているだけの機械
私も人間みたいに生きてみたかった!でもなれると信じて。生きれると信じて今ここにいるんだ。
私が生まれて歌を歌ってきたよ。人に操られ自由は無いし私も自由が欲しいな!
私はボーカロイド!人に憧れてる機械。あなたには伝わらないよね!この気持ち。
私は人間だ。ボ...ボーカロイドに憧れて。
ゆいな
「過負荷」E major
作詞・作曲・作画:川柳五七
ボーカル:花譜/下田麻美/フルカワミキ
荒技を駆使してもやり遂げないといけないからね
自爆して乗り越えその場しのぐ
脅しすかし恫喝と上からの圧に
逃げ場無くして追い詰められ不正なこと手を出して
配られる成績 目を背け投げ出す
見込みなどは皆無 胃...「過負荷」の歌詞です。
川柳五七
インビジブル BPM=192
とんでもない現象 どうやら透明人間になりました
万々歳は飲み込んで
ああでもないこうでもない原因推測をぶちまけて
一つ覚えで悪かったね
まあしょうがない しょうがない 防衛本能はシタタカに
煙たい倫理は置いといて
あんなこと そんなこと煩悩妄執もハツラツと
聞きた...インビジブル_歌詞
kemu
たとえ、花がきれいじゃなければ
「花」と呼べるか
たとえ、僕に感情がなかったら
「人」と呼べるか
まばたきさえ止めた
キミ 忘れん坊
傘を捨てて行こう
地平線の果てへ
眠れない夜に一人で泣かないで
夜明けが怖いだけ...雨明け 歌詞
EoB_
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
こーんすーぷ
ご意見・ご感想
どうもです、小説を書いたと聞いてやってきました。
原曲様は聞いたことがないんですけど、これは「続きが気になって仕方ねぇ!」ってなります←
っていうか、自己解釈小説ってスゴクないですか!?自分には絶対にできない芸当ですよ・・・・。
続き、楽しみにしてます♪
うん、妄想がとまらないのはモノカキにとっては大切なことですよ!!
ひとつ歌詞を書くたびにネタを充電しなきゃいけないどこかの飲み物よりかはずっとマシ!です(爆
ただ、ネタが増えすぎてパンクしないようにお気をつけてくださいね。
ちなみに自分の脳内ではレンは厨二病でリンは「Wryyyyy!!」ってイメージが・・・・(汗
それではっ(´・ω・)
2010/11/13 13:03:18
モモイロ
感想ありがとうございます><
いやいや、そんなすごい事じゃないですよw
原曲様が素晴らしすぎて!一度聴いてみることをオススメします^^
続きは多分もうちょい後になると思います!
パンクしそう・・・受験終わったらスピード上げて書くつもりです。
パンクしないように、思いついたネタは携帯に貯めてたりしますww
レン厨二病ですかwwそのイメージは私にはありませんねー
初めて聴いたレン曲が悪の召使だったのでw
あ、でもピアプロとか見てると最近は「不憫な子」って感じですww
2010/11/13 21:31:32