君に会えるなら…。何でも良かった…。禁忌だと知っていても…。俺は君に会いたい。
「お兄さん…その人にもう一度会いたいかい?」
お盆の墓参りに来ていると後ろから突然話しかけられた。
真夏にも関わらず頭から足まで真っ黒の洋服を着た老人。
「まぁ…会えるなら会いたいな…言いたい事沢山あるし」
「それなら話しは早い…。お兄さんの会いたい人も会いたがっていたしね…あ、でも…一つだけ」
「何だよ」
「お兄さんの命の時間を半分いただかないといけない」
口元に笑みを浮かべながら凄い事を口にする相手に怪しいと思ったが俺は反対な答えを出していた。
「命の時間?寿命の事か?」
「ああ…この世界では寿命って言うんだったね」
もう一度…愛してるお前に会えるなら寿命なんてどうでも良かった…。
「いいぜ、俺の寿命なんていくらでもくれてやるよ」
「解った…。でも、お兄さんの寿命だとお盆が終わるまでだ…。送り火と一緒に消えてしまう…それでも良いかい?」
「ああ…構わない」
「解った…」
そう言うと老人は俺の前まで来ると皺の入った手で俺の目を塞いだ…。その瞬間意識が途切れ記憶も闇に包まれた。
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