◆序
最愛の妃を身内に暗殺された王は
失意のあまり疑心暗鬼と狂気にとらわれ
戦闘と殺戮を繰り返していた。

誰も信じることができない彼は
ひとりの孤児を養嫡子としていた。

魔女が収監されていると聞かされていた離れの塔。
だが、暗く冷たいその場所にいたのは
まだあどけない少女だった。

道化の仮面を付け道化の服を着た彼は
一輪の薔薇を手に彼女の前に立つ。
「私の名前はアルレッキーノ。どうぞアルとお呼びください」

そして5年の月日が流れた。


◆1
高い塔の部屋に とじ込められていた(亡国の姫君)
彼女はいつも 耳をすませていた(待ち続けていた)

石の螺旋階段 のぼってくる足音が(近づいてくる)
本を閉じた彼女の顔に 笑みが広がる

紅茶のポットと 数冊の本を手に(仮面を付けて)
おどけた仕草で 優雅にお辞儀をひとつ(彼は現れる)

何も知らない 彼女は彼のこと(疑いもせず)
醜い道化と 思い込んでいた

狂気にとらわれた この国の王は
誰の言葉も 聞きはしない

明日になれば 十六になる
彼女は 刑場に花と散る

さあ、お茶をどうぞ
あなたは何も知らないでいい
力なく下された手から
落ちたカップがくだけて割れた


◆2
置き捨てられていた 馬車の中で目覚めた(夜明けが迫ってた) 
彼女の前に 跪く男たち(歓喜の面持ちで)

彼女はとまどい 道化を探したが(馬車の中には)
一輪の薔薇が 残されてるだけだった

教会の鐘の音は連日鳴り響き(嘆きの声)
無実の誰かが命を奪われる(やむことがない)

仮面の男が牢獄の鍵を開け(囚われていた)
亡国の捕虜たちは一斉に蜂起した

国王軍は 抵抗もせず
城はたちまち 開け渡された

雲隠れした 王に変わり
王子の処刑が 決められた 

そう、これでいい
かつては優しい人だった
彼が犯した罪は
すべて私が背負っていこう


◆終
夜闇に紛れ彼女はひとり 長い階段 上って行った
けれども彼は道化のことなど 知りはしないというばかり

青い瞳が彼女を見て そして静かに逸らされてく
家具も本も消えたその部屋は 暗く冷たい牢獄だった

王女のための 玉座に腰かけ(こんなことを)
彼女はずっと 目を伏せていた(望みはしなかった)

見せしめのための 高い処刑台(青空の下)
よどみない足取りで 彼はのぼっていく

しんとした広場に 響く靴音
はっとした彼女は 顔を上げた

弾かれたように駆け出す王女の
ドレスの裾が翻る

誰もが呼吸を忘れ
兵士らも動けずにいた

(You are only hope which I saw when I was in the dark)

教会の鐘が鳴り出し
そして鳴りやんでなお

(Even if I argue with fate, I will save your life)

彼女は彼を守るように
敵国の王子を抱きしめていた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

『アルレッキーノ』

「アルレッキーノ」の歌詞です。

閲覧数:345

投稿日:2014/06/22 10:47:03

文字数:1,219文字

カテゴリ:歌詞

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  • 真神稲荷

    真神稲荷

    ご意見・ご感想

    完成版も聴かせていただきました。
    広がりのあるサウンドから、歌詞の紡ぐ情景が浮かんでくるようで、
    最後辺りの盛り上がりには、聴いていて思わず涙ぐんでしまいましたw

    2014/06/19 22:04:33

  • 真神稲荷

    真神稲荷

    ご意見・ご感想

    ヨーロピアンなおとぎ話風の詞世界とゴスな曲調が絶妙ですね。
    曲も時々聴かせていただいていますが、
    低音の響きとワルツのグルーヴが、
    ゴシック感を更に引き立たせているように感じています。

    2014/06/03 21:24:45

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