1.
一枚の絵を描(か)いてみよう 何かが変わるような気がして
君の目を思い出してみよう 君の鼻を思い出してみよう
君の口を思い出してみよう 君の耳を思い出してみよう
君の髪を思い出してみよう 君の輪郭を指でなぞろう

一枚の絵を描いてみよう 朽ちていってしまわぬように
君の目は確かこうだっけ？ 君の鼻は確かこうだっけ？
君の口は確かこうだっけ？ 君の耳は確かこうだっけ？
君の髪は確かこうだっけ？ 君の輪郭を細く描(えが)こう

※君の顔が上手く思い出せないんだ 水に滲んだ文字のようで
息抜き一つも上手く出来ないんだ だから 歪な画稿が出来た
嗚呼...

2.
一枚の絵を描いてみた 愛が枯渇してしまったから
君の首は確かこうだっけ？ 君の肩は確かこうだっけ？
君の胴は確かこうだっけ？ 君の腕は確かこうだっけ？
君の足は確かこうだっけ？ 君の身体(からだ)が思い出せない
とても 歪な画稿が出来た

3.
何が足りない？ 想像力？
何が足りない？ 創造力？
何が足りない？ 何が足りない？ 魂が焦げるほどの火が足りない！！
何が足りない？ 君がいない 明日(あす)を見たい 朝が来ない
ずっと 生きている感覚が足りない

一枚の絵を描き終えた 結局、何も変わりはしなかった
君の目を塗り潰したんだ！ 君の鼻を塗り潰したんだ！
君の口を塗り潰したんだ！ 君の耳を塗り潰したんだ！
君の髪を塗り潰したんだ！ 君の顔を 全て 塗り潰したんだ！
まだ
君の首を塗り潰したんだ！ 君の肩を塗り潰したんだ！
君の胴を塗り潰したんだ！ 君の腕を塗り潰したんだ！
君の足を塗り潰したんだ！ 君の身体 全て 塗り潰したんだ！

一枚の絵を眺めていた ベッドに横たわり眺めていた
茶色いペンキで塗り潰された君の姿
それはまるで……