私はどうして人々の笑顔を大切にできなかったのだろう。この後悔は世界が滅びてからさらに押し寄せてくる。今は今だ。もう終わったことは戻ってこない。後悔と共に疑問がわいてきた。それは
「悪とは一体なんなのか。」
私の双子の弟アレンがずっと思ってたことでもある。ここではみんなが揃っているから聞いて回ってみようかな。私は歩きだした。
私は私の宮殿に向かった。そこに行けばアレンはいると思ったから。でも、アレンはいなかった。どっか他の場所に行ったのかな?そのかわりにカイル兄様がいた。私がかけよると彼は気づき
「リリアンヌじゃないか。どうしたんだい?」
「えっと、あのね!聞きたいことがあったの!」
彼はなんだい?と聞いてくれる。
「悪とは一体なんなのかなって思ったの。」
「なるほどね。悪とはか、、。」
質問が以外だったのか黙り込んでしまった。
「そう言えばジェルメイヌにも似たようなことを言われたんだ。」
「あ、、、、。」
私は彼女の話を聞くと固まってしまう。理由は聞かないで。言いたくないから。
「ごめんね。そんなつもりはなかったんだけど。」
「ううん、いいの。それでお兄様はどう思う?」
「これは答えはないんじゃないかな?なんか答えを出しては行けないような気がするよ。」
ハッキリとした答えがもらえなかった。でも、自分はどう答えるかと聞かれると答えられない。
「ごめんね。答えが出なくて。」
「いいの!ありがとう。」
私はそう言って彼と別れた。
私は鏡の間へ向かおうとしたとき後ろから
「あら、女王様じゃない。」
振り返ると後ろにいたのは革命を起こしたジェルメイヌ・アヴァドニアだった。
「あ、、、、。」
「そんなに怯えなくてもねぇ。」
別に殺そうなんておもってないんだから、とクスクス笑うジェルメイヌ。なんか悔しい。
「お、怯えてなんかないしー!」
私はぷくりと頬を膨らませて言ってみせる。
「はいはい。」
聞きたいことがあったんだった。忘れてた。
「えーっと、悪とは一体なんなのかって聞きたいの。」
私は勇気を振り絞って聞いてみた。急に彼女は真面目な顔をしてうーん、と唸ってる。
「それは私のお父さんが死んだときに考えた以来だから。」
「あ、、、、、、。」
お父さんが死んだとき、、、。私がアレンに殺せと命令したときと同じになる。私は本当になんてことをしたんだろう。
「そんな思い詰めなくてもいいわよ。もう終わったことだもの。」
「あの時は、ほんとにごめんなさい。」
「だからいいの!」
もう謝らなくていい、と彼女は制してくれた。
「そんなことより私が返事を出さないとだね。」
そうだった。彼女は許してくれたのか。彼女は私よりよっぽど、ずーっと大人だ。いや、私が子供すぎるのかもしれない。
「知らなくていいことだと思うのよ。」
「え?」
「私も考えていたけど考えれば考える程わからなくなってくるのよ。」
「兄様と同じことを言ってる。」
私がそのことを伝えると彼女は笑って、あいつと考えが同じとはね、と言う。その顔は少し赤かったような。変なことを考えるのはよそう。
「どうしてこんなことを聞いてるの?」
「ずっとアレンも気になってたっぽいから。」
ふーん、と納得したようにジェルメイヌは頷いた。
「これから聞いてまわるの?」
「そのつもり。」
「期待通りの返事はこないとおもうわ。」
「それでもいいの。アレンも気になってることだから。」
弟思いね、と笑ってくれた。
「アレンにもしあったなら元気と伝えてよ。」
わかった、と頷くと私は彼女に背を向けた。
リリアンヌが去った後、
「悪とは一体なんなのか、、か。」
私はその場でため息をつく。
「彼女も変わったわね。」
と私は一人で呟いて廊下を歩いていった。
「せっかくの機会だから考えてみようかな。」
そう呟きながら。
さて、次は次は鏡の間へ向かおうかな。私は足取りを軽くして廊下をあるく、そこへ着くと白い髪をした女性が立っていた。
「あら、リン。久しぶりね。」
クラリスだった。この世界はあまり変わらないと思うが、すこしふっくらしたような。
「この姿よりこっちの方がいい?」
私は一回転して修道女の格好になった。ポニーテールがショートカットに変わり服もドレスから動きやすい服へと変えた。
「ふふっ。どっちでもいいのに。リンがお着替えしたかったんじゃないの?」
「うぐっ。」
図星をつかれて何も言えなくなった。
「変わらないわね。リンは。」
「どういう意味よー!」
「元気があって素敵だわ。」
「あー、そう?」
褒められると何も言えないな。質問しなきゃ!
「悪とは一体なんなのかなー。」
「そうね。悪とは、、、。」
んー、と唸りながらクラリスは考え込む。
「悪はしてはいけないこと、かしらね。」
してはいけないこと、、、。
「どういうこと?」
「私達は子供たちに『悪いことはしてはいけません。』と教えてるでしょう。それだと思うの。」
へー、私はそれしか出なかった。難しく考えるといけないのかな。うん、きっとそうなのかも、、、。
「わかった。ありがとう。」
「人の役にたてたなら何より。」
クラリスはふわりと微笑む。私はその笑顔に引き込まれそうになった。私のお母様に似ている。私はそういう風になりたかった。でもなれなかった。私は首を振り今は今だ。自分の出来ることをしよう。
「じゃあまたね、クラリス。」
「ええ、また。」
別れを告げて鏡の間から出た。
アレンに会いたいな。みんなと会っているうちにそんな気持ちは膨れ上がっていた。私は王宮を駆け巡った。
「アレン!どこにいるの?」
私は弟の名前をひたすら叫びながら走り回った。
私は小さい頃お母様に怒られた時に閉じ込められた部屋にまた辿り着いた。私はそこで少し休暇しようと座り込んだ時、
「久しぶりだね。リリアンヌ。」
私は慌てて後ろを振り返った。私の弟が間違いなく立っていた。
「アレン!」
私は弟に飛びついた。
「元気にしてた?」
「うん、その前に降りてくれない?」
私は彼に飛びついたままだった。ごめーん、と言って降りた。仕方なく、、、。
「相変わらず元気だね。見習いたい。」
えっへん!、とドヤ顔をしてみせる。
「あのね、質問があってね、探してたの。」
「実は僕もなんだ。」
「「悪とは一体なんなのか?」」
同じ質問だった。私達は互いに笑いあったあと真面目に考え出した。
「「んー、、、。」」
時間はどれくらい経っただろうか。軽く10分は経ったような気がする。
「アレン、なんか浮かんだ?」
彼はしばらく黙ったあと、
「これはあのコウモリに聞いても分からないことだと思うんだ。」
「と、言いますと?」
「僕達が今ここにいる間の宿題ってことになるね。」
「誰が悪だとか誰が悪ではないとか勝手にはきめられないんだよ。つまり、コウモリでも決められない。」
彼は続ける、ずっと微笑みながら
「だから新しい世界でまた考えた方がいいと思うんだ。」
「結論はでないまんまってこと?」
「そうだね。回答は今出さなくてもいいってこと。」
納得いかないけど、、、。まぁいいっか。私達の世界はこれからだもんね!
「そうだね!新しい世界でも頑張ろう!」
私達は手を取り前を向いた。
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