三日月　雲間に
我が姿　二藍に　染め上げ
深き夜　彷徨う
求めるは　在り日の　思い出　

視線の　その先
懐かしき　桟橋が　浮かびて
佇む　貴方を　
鮮やかに　歪める　霧雨

杜若　添え　合わす　手が
儚く　映りて　　
この世に残し　この心　彩なす夢

月よ　今宵また　胸痛む
　響く　貴方への　絶てぬ恋
月よ　我はいま　此処に居る
　なぜに　貴方には　見えぬのか

今も続く　この病
　刹那でも　抱いて欲しい


その日は　五月雨
相合傘　手を取り　寄り添う
桟橋　渡りて
川の辺　瞳　向き合う

秘めたる　想いと
短き命　共に　打ち明け
貴方は　微笑み
我の身を　抱き寄せ　頷く

頬伝う　この　涙　落ち
流れし　先には
咲き乱れるは　杜若　揺れていたか

月よ　今宵また　我は散る　
　決して　貴方には　見せられぬ
月よ　我はいつ　そこへ逝く
　せめて　貴方から　断ち切れば

この歌を　風が攫う
　翳るあの　五月雨の日　　　　　　


遠い日に　交わせし　あの約束
「貴方だけは幸せに」と　伝え
消えいく我に
「ずっと一緒だよ」と
言う声　それが我が身　縫い留めた


月よ　今宵また　胸痛む
　響く　貴方への　絶てぬ恋
月よ　我はいま　此処に居る
　なぜに　貴方には　見えぬのか

今も続く　この病
　刹那でも　抱いて欲しい

--------------↓ひらがな↓--------------------

みかづき　くもまに
わがすがた　ふたあいに　そめあげ
ふかきよ　さまよう
もとめるは　ありひの　おもいで

しせんの　そのさき
なつかしき　さんばしが　うかびて
たたずむ　あなたを
あざやかに　ゆがめる　きりさめ

かきつばた　そえ　あわす　てが
はかなく　うつりて
このよにのこし　このこころ　あやなすゆめ

つきよ　こよいまた　むねいたむ
　ひびく　あなたへの　たてぬこい
つきよ　われはいま　ここにいる
　なぜに　あなたには　みえぬのか

いまもつづく　このやまい
　せつなでも　だいてほしい


そのひは　さみだれ
あいあいがさ　てをとり　よりそう
さんばし　わたりて
かわのほとり　ひとみ　むきあう

ひめたる　おもいと
みじかきいのち　ともに　うちあけ
あなたは　ほほえみ
われのみを　だきよせ　うなづく

ほほつたう　この　なみだ　おち
ながれし　さきには
さきみだれるは　かきつばた　ゆれていたか

つきよ　こよいまた　われはちる
　けして　あなたには　みせられぬ
つきよ　われはいつ　そこへいく
　せめて　あなたから　たちきれば

このうたを　かぜがさらう
　かげるあの　さみだれのひ


とおいひに　かわせし　あのやくそく
「あなただけはしあわせに」と　つたえ
きえいくわれに
「ずっといっしょだよ」と
いうこえ　それがわがみ　ぬいとどめた


つきよ　こよいまた　むねいたむ
　ひびく　あなたへの　たてぬこい
つきよ　われはいま　ここにいる
　なぜに　あなたには　みえぬのか

いまもつづく　このやまい
　せつなでも　だいてほしい