第二話 ―届カナイヨ―
「ミク姉、また脱走してきたんだ~」
女の子がからかうような目でこちらを見ている。
「きっと城の中で迷惑してる人第一位d「レン君?何か言ったかな?」
「いえ、何も申しておりませぬお姉さま!」
「よろしい」
「ねえ、隣の人は誰?お友達?」
「そうよ。ハルさんっていうの」
「初めまして!ハルさん。鏡音リンです。こっちは双子の弟の」
「レンです」
「リンちゃんとレン君ね。初めまして」
「母さーん!ミク姉たちが帰ってきたよー!!」
「たち?複数形?」
「お友達のハルさんだよ!」
「いらっしゃい、ハルちゃん。うちにはバカなネギとうるさいミカンとマヌケなバナナしかいないけど、ゆっくりしていってね」
「「「そんなんじゃないし!!」」」
店に入り、居間でくつろぐ。
「やっぱり家が一番だわ」
「今のミクの家は桜花城でしょ」
「そうだけど…。あ!いつものネギ飴。今日もつくってね!」
「はいはい(本当にネギ女よね…)」
「あたしはうるさくない!」
リンはまだ怒っている。
「間違ったこと言ってないと思うんだけど」
「いつあたしがうるさかったっていうのよ!」
「今」
確かに…。
「そ、そうだ。ハルさんのこと教えてよ!」
リンは絶対的に不利な状況になったので話題を変えた。
「俺も知りたい!」
「…」
ミクは困った。
この子達に何と言うべきか。
ハルはいきなり立ち上がると、
「すみません。ちょっと表の方へ出ていていいですか」
表情はよく見えなかったが、おそらく何かあるのは間違いない。
リンとレンはそう思った。
「ちょっと行ってくる」
「レン?」
リンを無視してレンは出ていった。
「ハルさん」
「レン君?」
「すみません。何も考えずにあんなこと言って」
「違うの」
「え?」
「私、記憶が全くないの。だから、家族のこととか全然覚えてないはずなのに…なのに……」
「…」
「…懐かしい感じがして……。でも思い出せなくて…。そんなこと考えてたら…、うらやましくて……。
その場にいるのが辛くて……。ごめんね」
「謝らないでください。それに、ハルさんは僕たちの家族同然ですよ」
「え?」
「探しに行けばいいじゃないですか。一緒に探しましょう」
「レン君…」
「ただいまー」
「レン!ハルさん!」
「ハルさんの様子はどうだった?」
レンはハルの事情を説明した。
「そうだったんだ…。あれ、まずかったかな…。探すって旅に出るってこと?」
「うん。今から母さんに相談してみようと思う」
「あたしも行くー!」
ドタドタドタドタドタ…
「なんだなんだ?騒がしい」
「「母さん!旅に出たいです!!」」
「…フフッ」
「「?」」
「父さんと同じね。突拍子もなく「母さん、俺は旅に出てくるよ」ってね…。良いに決まってるでしょ。いってらっしゃい」
「「やったー!!」」
「でも、今日は泊まっていきなさいね」
「「はーい!」」
「ミクたちはどうするの?」
「リンちゃんとレン君について行こうと思います」
「私も」
「そう」
次の日。
「「「「行ってきまーす!!」」」」
「待って」
ネルは頭にしていた三角巾をはずし、リンの頭にリボンになるようにつけた。
レンには常に首にしていたお守りを渡した。
「それじゃ…。いってらっしゃい」
ネルは満面の笑顔をみせた。
「「「「いってきまーす!!」」」」
「ふぅ」
ネルは短く息を吐いた。
「さあ、早く行くぞ」
城の役人がネルの腕をつかむ。
「待って。視界から消えるまでここにいさせて」
「そんなもの知ったことか。姫を野放しにする代わりに牢に入ると言ったのはおまえだろう。さあ来るんだ」
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コメント1
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ご意見・ご感想
しるる
ご意見・ご感想
はう!せっかくいい最後だったのに、コメントで吹いたww
まさかの逮捕ってw予定なかったの?www
旅に出たいです! いいわよ
なんて、そうそう言えないですよねwww
2012/05/30 01:15:24
june
ネルを監獄行きにする予定は無かったんですけど…w
確かに言えないですねww
私の中ではネルはおおらかで豪快なイメージがありますw
2012/05/30 20:47:46