願い、星に掛けて~荒れる世界と願い星~


 リノに呼ばれて出た先…
 そこには、荒らしの集団ができていた。

 リノが飛んできて、私たちに説明してくれた。

 「今、MMDのモデルと多くのユーザーを巻き込む事態になってる。荒らしが増えて、酷い状態だよ。早く止めにいかないと…」

 MMD…通称MikuMikuDance。
 モデルを使って、ダンスなどの細かい動きを、ムービーとして発表できるのだと、聞いたことがある。
 実際に、何度か呼ばれたこともあるが………私がMMDを使ったのは、踊る為ではなく、MMDドラマと呼ばれる作品だった。
 今、そのモデルを巡って、荒らしがユーザーに衝突したらしい。

 「荒らし、かなりの数だよ、リンちゃん……」

 ミクは武器を探しながら、弱音を吐いた。
 よく分かるよ、私だって不安だ。
 だけど、それを口に出すことはできない。
 元々、私が平穏を崩すことを望んだ結果がこれだ。
 自分で撒いた種は、全て潰さなければいけない。

 (大丈夫?…不安なら、リノが先に行くよ?)

 忘れてた、人の心を読むことに関して、リノはプロ以上の力を持っている。
 元々が願いと感情のため、聞きたくなくても聞こえるのだとか。
 なんだよ、そのストーカー能力は…
 自然と、笑ってしまう。
 今は笑ってる暇なんて、無いのにな。

 武器が見つからず、歌で戦えたらいいのに…とミクは呟いた。
 確かにそうだ、ミクも私も、武術なんて持ってないし、前の奇跡だってリノの力だ。
 歌で戦えないだろうか。

 (なら、それを叶えるよ。)

 うん、よろしく頼むよ、リノ。


 光が放たれ、思わず手を握る。
 次に開いたとき、手の中には石があった。
 ミクも隣で、同じことをしていた。

 「今まで、自分が歌ってきた歌。それを、何でもエネルギーに変換できる装置だよ。」

 よし、突撃開始だ!



 「お前、ユーザーの分際で、モデラーに口出しするなよ。」
 「いいんじゃないか?リドミにはそれで規制とか、書いてなかったぞ。」
 「ふざけるなよ、おい、皆で叩こうぜ」

 人は、自分より下を作りたがる、か。
 よく言うな、お前らは数年後忘れても、俺は一生忘れないからな…
 覚悟を決めるのは早いか。
 誰か来たようだ。

 よく知っている人影。初音ミク、鏡音リン…それと……誰だ?
 見たところ、リンの亜種だな。
 荒らしが気を取られている隙に、輪から抜け出す。
 見ると、彼女らは自身のオリジナル曲で戦っているようだ。
 いや、例外がいる。
 リンの亜種…ニコニコ大百科を見ても、その姿はなかった。
 何者なんだ…



 「みっくみくにしてあげる!!」

 高速の拳がつき出され、荒らしの集団が崩れていく。
 荒らしが歓声を上げたと思うと、砲弾が次々と飛んできた。
 荒らし弾幕だ。

 「悪の華可憐に咲く~」

 巨大な刃が宙を舞い、敵からの砲弾を粉々にしていった。

 「流星群!」

 リノが星を落としていくと、敵の数はかなり減った。

 「同じ顔はもう見飽きた 同じ話はもう聞き飽きた!」

 ミクと私のデュエット。
 荒らしなど、もはや敵ではなかった。

 静かになった。
 全ての荒らしを倒したのだ。

 倒れている人を見て、最後に呟く。

 「彼らを、普通のユーザーに戻し、蘇生して。」

 「おお、いい使い方してくれるね。」

 リノはそれを叶える。
 この町での仕事は、終わりを告げた。

 さて、次のとこに行きますか。

 「次の街は、広いよ。味方もいるだろうけど、敵も多いかも」

 ミクはそう言って、足元を向く。

 「大丈夫だって!私たちなら、できるよ。」

 リノは笑う。

 ……?

 リノが、無事に逃げられたユーザーさんを見て懐かしむような顔をしたのは、気のせいだろうか?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

願い、星にかけて~荒れる世界と願い星~

 第二段!
 好き勝手書かせていただきました。
 いや、ほんとにこうなって、ニコニコ動画が平和になればいいのにな。

 リノは技の反動を受けない性質。流星群を放っても、特攻が二段階下がることはない!←

閲覧数:136

投稿日:2013/06/05 07:02:43

文字数:1,612文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました