幸福論
開かれた頁(ページ)には
『笑うことが 幸福』だと
それならこの世界の
虚しさから 来る笑顔も
幸福だと呼べるのだろうか
海原に射し込んだ 陽の光が
碇を魅せながら
夜に果ててく
扉を叩いてみても 返事はなくて
抉じ開けた鍵穴は
朽ちていくだけ
波に揺れ 今は唯 抱き合って
あぁ 苦しみも 痛みさえ 癒やしてよ
破り捨てた頁は
海原に溶けていく
何処までも
折れた翼を拡げ
飛び立てない 渡り鳥
伝説となりし今
勲章の 羽根を憩い
在りし日の自分を弔う
ノアの方舟から 零れ落ちた
人魚の泪には
祈りの唄を
自由という檻の中で
無様に踊り続ける
流れ着いた手紙を
少年は 破り捨てた
月明かりに浮かんだ
未来の自分 歪んで行く
開かれた頁(ページ)には
新たに今 描かれた
伝説の少年は
折れかけた 羽根を宿し
最期にこう言い遺した
『生きることこそが幸福だ』と
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