薔薇の香が漂い始める頃。
私たちは音も無く、ただ静かに彷徨い出す。
無数の棘が突き刺さり、どれほど血が流れても。
それを痛みとも感じない。
それほどに求めるモノを手に入れるために。
私たちは声も無く、ただ黙って彷徨い続ける。

燃えるように、残酷なほどに。
薔薇の花弁は赤く紅く、舞い落ちていく。
そうして出来上がった薔薇色の道は。
まるで、私たちを誘い込む罠のよう。

願う言葉も、祈る心も失くしてしまった。
必要なのか、それさえも理解出来ないままに。
意志の無い人形のように、それに涙する事も無い。
私たちは、彷徨い、やがて枯れ果てる運命。
唯一つ、心から欲するモノだけを求めて。
それだけを手に入れるために。

薔薇、毒、私たちを蝕んで。
薔薇、蜜、私たちを融かして。
薔薇、熱、私たちを焦がして。

繰り返す。繰り返す。
幾度でも、何度でも。
薔薇の香が漂い始める頃。
薔薇色の道が出来上がる頃。
私たちは人形となり。
欲するモノのためだけに。
命を捧げ、枯れ果てる―――

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

薔薇色小道の生贄

その街では、毎年決まった時期に少女達が行方不明になる。
―――薔薇が咲き乱れ、その花弁で小道が出来る頃に…。

…いったい自分は何を書こうとしていたのやら?

閲覧数:119

投稿日:2010/07/31 11:01:18

文字数:440文字

カテゴリ:小説

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