TAITO~ONLY YOU……~ 13
「同一」

青い髪
青い瞳

俺のかつての『姿』。



そして俺が『出来損ない』だと嫌でも自覚させられる『存在』。



『大丈夫?立てる?』

青い髪と瞳の男は俺に手を差し伸べる。

俺はその手を取らずに立ち上がる。


『……どうして、俺なんかに声をかけるんだ。』

自然と刺々しい口調になる。

『道端で人がしゃがみ込んでいたら、声をかけるのは当然だよ。
 それに……君も、KAITOでしょう?僕と同一(おなじ)。』

『……!!』




……『同一』(おなじ)……。

俺とこいつが『同一』(おなじ)?……笑わせるな。

出来損ないの俺には、ただの『皮肉』にしか聞こえない言葉。

次第に怒りが込み上げてきた。




『おまえ……いったいどういうつもりで……。』


『……帯人っ!!』


突然名前を呼ばれて、俺は我に返る。

『幸音……?』

俺のすぐ後ろに、息を切らせた幸音がいた。

『よ……良かったー……すぐ見つかって……。
 急にはぐれちゃったから……あわてて……。』

『幸音、喋らなくていい。』



幸音に心配された。こんなにも……。

不謹慎だとは分かってても、内心喜んでる自分がいた。



『……えっと?そっちのアナタは……。』

幸音はすぐにKAITOの存在に気づいた。

『初めまして。見ての通り、VOCALOIDのKAITOです。』

KAITOは幸音に笑顔を向ける。

『あ……初めまして。私は北條といいます。』

幸音もKAITOに笑顔を向ける。



挨拶をしているだけなのに……何だろう、この感覚は。

何か……幸音が俺以外の存在と関わっているのが……。




『嫌』だ。




『それで、彼は……。』

『帯人、ですよね。』

『…………。』

『……帯人?どうかしたの?』

『……いや、別に。』


KAITOに『帯人』と呼ばれて、一瞬顔をしかめた俺に
気づいたのかどうかは分からないが、KAITOは言葉を続ける。


『僕はただの通りすがりのお節介ですよ。
 お互いに見つかって、良かったですね。
 ……それでは僕はこれで失礼します。』

KAITOは俺に視線を向けた後、幸音に一礼して
俺と幸音の傍(わき)を通り過ぎて行った。


人ごみに消えていくKAITOを
俺と幸音はただ黙って見ていた……。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

TAITO~ONLY YOU……~ 13

これも久しぶりに更新(汗)。

『帯人とKAITOを絡ませたかった』という私の願望です(汗)。
このKAITOはいったい何者なんでしょうかね?(←ぇ)

そして言わなくても分かると思いますが
アイ・ストーリーとTAITO~ONLY YOU……~は
全然関係の無い話ですよー。

閲覧数:329

投稿日:2009/07/28 11:37:35

文字数:1,003文字

カテゴリ:小説

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