15 ゲームでは高嶺の花 その2
「んふっ、どうかしたのリンちゃん?」
「い、いえ!別に・・。」
「いつも一緒にいるギルドの人達とはどんな話しした?結構みんなリンちゃんとは歳が離れているからね、あんまり話すことないかな?」
「あ、はい、そ、そうですね。ちょっと難しい話ばっかですね。」
実際のところターナカさん以外まともに話をしていない。
「そーお?でもゲームの話ならわかるでしょ?あ、ここ来てまでゲームの話はしないか。ほらさ、セシル君なんて話してて面白いでしょ。すごい親しみやすいし。」
ぐっ・・、その人について触れないでほしい。もう忘れたい過去だよそれ。
「けっこうここ来るとシャイな人多いけど、セシル君はゲームのときのままね。人がいいのは変わらないわね。」
・・・確かに人がいいのは認める。だが、見た目のイメージはゲームのキャラと天と地の差がある。いやしかし、だいたいみんなゲームのキャラなんてカッコがいいものだ。美形な人ばっかり。それはわかっているが、あの人の場合、チャットでの会話のニュアンスが現実と違う。ゲームの世界じゃ自分のこと私って言ってるし、基本ほとんどの人に敬語で話をしているからすごい紳士なイメージを受ける。なんか知らないけど中身が女性のプレーヤーにすごいモテてる感じがする。
だが、実際は・・いや、よそう。そんなことを言ってどうする。人の顔とか見た目がどうとか、まるで子供じゃないか。別に非難したり、嫌いになったり私はそんなことをするような人間じゃない。人として最低だ。でも恋愛対象としては無理。無理です。ごめんなさい。本当にごめんなさい。おじいちゃん、おばあちゃん、ごめんなさい。なんかよくわからないけどおじいちゃん、おばあちゃん、本当にごめんなさい。
そうよ、私は子供よ。所詮はただ中学生よ。子供はお家でゲームをしていればいいのよ。おとなしく漫画でも見てればいいのよ。リアルで大人に紛れていったいそれが何だっていうのさ。
そんな乙女の恋心も知らず、さらには自分の知らないところで勝手に自爆をされているセシルは相変わらずノリノリで楽しそうだ。隣にいるレンもどうやら元気を取り戻したように見える。
「リンちゃんはmisakiちゃんに会いたがっていたわね。でもやっぱり今回も来てないみたいね。」
くぅ・・・、その話題にも触れないでほしい。セシルは無罪でもそいつは有罪なのよ。しかも有罪とわかっていて無罪の判決を下しているようなものよ。
本当に悔しい、許せない。別に何かされたわけじゃないけど私の体の数字を聞き出し、もっと胸があったらいいわねーーこのチビ貧乳~とか言いやがって。臆病者でスットコどっこいの田中さんに感謝するのね、あの人が私にチキン丸出しなお願いをしてこなかったら、リアルであんたを見つけ出して師匠に教わった秘奥義をくらわせてやるのに。クソーあの田中のチキン、タナクソチキン、クソチキッ、クソチキッ。
「チキチキってリンちゃん、どうしたのぶつぶつ言って?」
「は!い、いえ、別に・・。」
「misakiちゃんはどういうわけか来ないのよねー。あの子も恥ずかしがり屋なのかしら。ここ来るのに家は遠くないらしいけどね。」
「はぁ・・・。そうですね。」
「リンちゃんも残念よねー。あんなに仲がいい子とは会ってお話ししてみたいでしょ。」
「くっ、そ、そうですね・・。」
も・・、もういいから話題を変えてくれ。
16 三度目 その1へ続く
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