*途中で飽きてます
*ルカミク風味女子高百合





うちの学校では変なしきたりがある
女子校で、中高一貫だからだろうか
うちの学校ならではの雰囲気というか、何というか。言葉では言い表せられない何かが出来上がってしまっていて、高校からの入学である私には入り込めないところがある
例えるなら、今日みたいな一年のしめくくりの終業式の日なんて、まさ私が入り込めないしきたりの一つとなっている。


「アタシ今年こそメイコ先輩からスカーフ貰うから」
「めーちゃん競争率高いよ。去年なんか、一クラスくらいの女の子に追いかけられてあまりの怖さにスカーフぶん投げたって笑ってたから」
「めいこ先輩まじパねぇ・・・!まじしびれる」

ほぅ・・・と恋する乙女・・・や、リリィちゃんの場合崇拝する神かな
取りあえず並ではない顔をしてリリイちゃんは自分の生徒手帳に挟んである写真をみつめる
そこにはショートヘアーの体操服姿の麗人がキリっとした表情でうつっていた。
当たり前だけれど、麗人は女の子である。うちの学校一モテモテの一個上の先輩だ

「そういえば、ミクは誰から貰う系?」
「私は購買で買おうかなあって・・・」

知り合いの先輩いないし

「駄目だってばー!この前ちゃんと説明したでしょ!」

そんなこと言ったって、あても無いし・・・。
本当に意味のないしきたりすぎて、ついていけてないのが真実
怒ったような声を出すリンちゃんは、知り合いのお姉さんがこの学校に居るらしいからそんなこと言えるんだよと言ってあげたいくらい


この学校の行事のひとつに、学年末の今の時期に行われるスカーフ渡しというのがある。
リンちゃんに最近聞いたんだけれど、本当についていけない
スカーフ渡しとは先輩から後輩へ品性等を伝えた証拠としてスカーフを引き継ぐという行事らしい
だからこそ、二年三年の時にスカーフが真新しい生徒は先輩から大事なことを教わってないとされる。
ぶっちゃけ白い目で見られるからね、先輩とは仲良くしておこうね!
とリンちゃんには言われたけれど・・・終業式一週間前に言われても・・・。

それに私としては、何年引き継がれたかわからないお古のスカーフより新しくて綺麗なスカーフを使いたいんだけど・・・

「やっぱ駄目かなー・・・?」
「だああああめ」
「でも私部活も入ってないし、高校から転入してきたからリンちゃんみたいに知り合いのお姉さんもいないし。リリィちゃんみたいに憧れる先輩もいないし・・・」

スカーフ綺麗な方が良いし

「それでも何とかしなきゃ!大丈夫、ミクは可愛いから先輩も快くくれるよ!」
「んー・・・・・・」

白い目で見られても、もう新しいスカーフ買おうかなあ・・・。なんて考えているともう一人の金髪が脚を組んで私たちを見降ろしてきた

「ハッ、知らないのー?これだからツルペタと新人は」

その言葉にリンちゃんがギっとリリィちゃんをにらむ
もー、ケンカは駄目だよ

「毎年裏で先輩のスカーフ売ってる人居るんだって。アタシも中学の時めいこ先輩のスカーフ貰えなくて買ったし」
「え、売ってるの?」

お古のスカーフなのに?

リンちゃんが持ってない知識を持ってて得意気なのはいいけどリリィちゃんスカート短いからパンツ見えてる

「もしミクがスカーフ貰えなかったら、優しいアタシが案内してあげる」

でもリリィちゃん優しいからこれは言わないであげよう。

その後リリィちゃんはリンちゃんにハート柄のパンツをからかわれてた。








時間は変わって、終業式当日
終業式ではみんなザワザワしてて何回も先生達に注意されていた。
そうして終業式が終わったと同時に我先にと逃げ出す三年の先輩たちを追いかける二年。それをおいかける一年という奇妙な鬼ごっこがはじまった。
髪を振り乱して先輩を追いかけるなんて、気品も何もあったもんじゃない気がするけどなあ・・・
と思ったら先頭で先輩を追いかけていったのはリリィちゃんだった。

その後リンちゃんは知り合いに早速スカーフを貰ったらしく、すでに青いスカーフをつけていた。
今さらだけれどスカーフは学園によって色が違っていて、赤が一年。青が二年、緑が三年となっている。
だからまだスカーフを持ってない私は赤色
リリィちゃんのスカーフも最初は赤色だった。
泣きながら戻ってきたリリィちゃんの話をきくと、どうやら憧れの先輩はすでにスカーフを誰かに渡した後らしい。
でもそんな泣いているリリィちゃんを見ていた名も知らない先輩が、可哀想に思ってリリィちゃんにスカーフを渡していた。

いいなーリリィちゃん、私も泣いたら誰かくれるかなあ

でも辺りにはすでにスカーフを交換し終わったのか笑顔の人たちばかりで、そんなこと望めそうにない。
やっぱり買うしかないかな

「リリィちゃん、例のスカーフ売り場って・・・」
「あぁ、中庭中庭ー。髪の長い先輩がいるから行ったらわかるってー」

わかるってーって、もしかして案内してくれない・・・の・・・?
言うないなや、リリィちゃんは彼女にスカーフを渡した先輩と連れだっていってしまった。
てっきりついてきてくれると思ったんだけど・・・。
リンちゃんはさっきから見当たらないし、やっぱり一人でいくしかないと中庭にむかう

途中、スカーフを握りしめて泣いている子や、逆に何も無くてハンカチを握りしめて泣いている子に遭遇したりした。
騒がしいのはそんな体育館周辺くらいで、体育館から一番遠い中庭は静かなものだった
静かすぎて逆に不安になってくる・・・。
スカーフを買いにくるのってやっぱり私だけなのかなあ

その中庭には、確かにリリィちゃんが言っていたような髪の長い人がいた。
暇そうにベンチに座って文庫本を読んでる。本当に退屈そう
傍らには大きなバッグが置いてあって、そこから一つクシャクシャの青いスカーフが覗いてた
先輩、年上ということで一つ勇気を出して近づいて衣くと、その人は顔をあげて誰?という表情で私を見た。

「あの、すみません。こちらでスカーフを・・・」
「あぁ・・・」

その人は私の胸を見るとバックをあさりだした。

「一年生よね。二年のスカーフは一枚六百円よ」

高っ
購買では一枚三百円のスカーフなのに
仕方なく財布から百円玉を取りだすと、先輩に差し出す。
先輩もバックから薄汚れた青いスカーフを取りだして私に渡してくれた

「今年は客がはやいわ。貴方、誰のスカーフ狙いだったの?めいこさん?」
「いいえ、違います・・・。」
「ふうん。めいこさんだったらそろそろ、戦いに負けた一年たちが押し寄せてくるかなと思ったんだけれど」
「めいこ先輩なら誰かにスカーフ渡したみたいですよ」
「あら、そうなの」

だったら準備しないとね、と先輩が青いスカーフをバックから取りだして綺麗に畳みはじめた
出来れば私のも綺麗に畳んで欲しかった。
話は終わったとばかりに先輩が畳みだすものだから私もそのまま体育館に戻ってリリィちゃんとリンちゃんと合流し帰ろうかなときびすを返した。

集団の女の子たちがこちらにやってくる
みんな肩を落としきったサラリーマンみたいな雰囲気でこちらへトボトボと歩いてきていた

結構な人数居るけれどこれ全部スカーフを買いにきてる人なんだろうか

なんだ、結構人居るんだ・・・と思ってそのまま帰ろうとしたら腕を引かれた

「ねえ、貴方。ちょっとアルバイトしていかない」
「アルバイトですか」
「私がお金を計算するから、貴方スカーフを渡して」

を、渡して。
あれもう何か手伝いすることになってるけれど、私イエスって言ってないよ・・・ね
けれど相手は先輩、反抗することなんてできるわけもなく
それに先輩はなんだか話しかけ辛いというか、冷たい雰囲気がただよってて。
美人すぎると近づきがたい感じで

押し寄せてきた人たちはやっぱり、女の先輩のスカーフ戦争に敗れた人たちで
それぞれ目を赤くしていたけれど先輩を見るとほうけたような顔をして
それでも先輩にスカーフくださいと言わないのは、先輩がスカーフの売人だからだろうか
何人かうらやましそうな目で私を見ていたけれどサッサと先輩が追い払ってしまった。

そんな目で見られても、もしあなたが私より先に来ていたら
ここにいるのは貴方だった、それだけなのに

結構な人数をさばいていくとだいたいの生徒がめいこ先輩のスカーフを狙っていたと小耳に挟んだ。
ああなるほど、だから先輩は私がめいこ先輩のを狙っていた人かどうかきいたのだろう
負けた生徒がわんさかくると知っていたから


あっという間に生徒はいなくなって、残ったのは青いスカーフが消えうせたバックと小銭がたくさんでウハウハの先輩と憔悴しきった私だった。

何でこんなことになったのか、思い出しても思い出せないくらい疲れた。

「いきなり頼んで悪かったわね」
「いいえ・・・」

頼むっていうか最後は押しつけてましたよ先輩

「去年はめいこさんも頑張ってたから、気楽にいったんだけど。助っ人を頼む時間さえないんだもの。困ったわ」

困ったのは私である。
このままここに居ると、二年生の分までお手伝いすることになりそうで私は颯爽と立ち上がった
はやく帰らないとリンちゃんもリリィちゃんも置いて帰りそうだし

スカートのお尻をパンパンと叩いて立ち上がると先輩に向き直る

「それでは先輩。私帰ります」
「ああ、待って。アルバイト代」

先輩はそういうと私の手を掴んでそこに少しのお金を置いた。
本当にアルバイト代は出るのかと少し拍子抜けしてしまう

「でもこれだけじゃ悪いわね。そうだ。誰かのスカーフ狙いなら、来年その子に頼んであげましょうか」

私はすぐに首を振った。

「いいえ、私誰のスカーフも狙ってませんから」
「最初にも言ってたわね。珍しい子」
「高校からの編入なんです。まだちょっとここの行事とかついていけ…慣れなくて」
「貴方もなの」

貴方っていうことは誰もなのだろう
先輩も?ときこうと思ったら、先輩にスカーフをグンと掴まれた。
そのまま先輩は私の赤いスカーフをほどくと、自分のスカーフを外した。
色は青、何年も使い古されたものとは違う真新しい色だった。それに裏にピンクで刺繍がしてあるのが見える。
先輩は呆けた私にそれをサっとまきつけると、満足そうにうなずく

「それじゃあ、来年も私のスカーフをあげるわ。変なしきたりを気にして窮屈に生活しなくてすむでしょう。来年も中庭にいらっしゃい」


変な、先輩

それが彼女との出会い。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

変な先輩と、凡な後輩

駄文です。百合です。ルカミクです

閲覧数:767

投稿日:2010/10/06 22:26:10

文字数:4,361文字

カテゴリ:小説

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