恋なんてしたことないし
どんなものが恋なのかわかんないし。

でも君を見るとドキドキするし
君の近くにいると空回りしちゃうし。

ふと見かけた君の笑顔ほど
破壊力あるものなんてないし。

とりあえずずっと君と一緒にいたいとか
思っちゃったりするし。

でもそれは曖昧で脆いから

君が他の女の子といると
なんか急にうざったく見えるし。

すぐに当たりたくなるほど
嫌いになっちゃうし。



でもそんなときに限って君は
私を心配してるかのように
声をかけてくれる。
いつものあの笑顔で。






その瞬間
全てが色鮮やかになるんだ。

煩いくらいの青い空も。
鬱陶しいほどのセミの鳴き声も。
暑すぎるこの空間も。
ケダルイ5時限目も。


そして
その笑顔を
独り占めしたいって

私だけに
笑っていてって

私だけと
一緒にいてって

私を



好きになって


って。









これが恋なんだと
ため息がもれた。




でもそんなこと
言えるわけがなくて。



また口ごもってしまう。








「ん?どうしたの。」

「い、いや 何でもない……。」







ふと窓の外を見れば

何も変わらない
相変わらずな風景が
広がっていた。




「悪くはないかも。」





そう呟いてみた。

雑踏に塗れたなか、
その声だけが
よく聞こえた。



その瞬間
また、何かが
変わったような気がした。

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色恋

とある夏の日の
とある高校生の
とある恋の話。

閲覧数:163

投稿日:2015/05/06 23:34:17

文字数:617文字

カテゴリ:小説

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