世界のすべて
家の近所と駅、通学路からE組まで、三列目の机が私の世界のすべて
将来の像に並ぶ文字、まだ遠い時代のお話 制服ごと身体を校舎に結えておいて
一応、写真も撮った 笑顔で撮った
瞬間に記憶は、思い出ぶって澄ましていった
シャッターが世界を刻んだ
運転手に会社員、エンジニア、美容師に受刑者
皆には思い描く旅路
宛先不明の現在地
私だけ居残りの、簡素なモノローグ
あいつの席は斜め左
距離にしては数十センチ
広さだけが取り柄の街では微々たる物で
数年経てば遠く離れ
きっと全てを忘れ去って
制服を脱いだ身体は行方を眩まして
例えの話は尽きず、あるいは逆も
あの本が言うには、世界は平面、その外側は海だって
運転手に会社員、エンジニア、美容師に受刑者
そんなんどうでもいい
終業のチャイムを認めない
青春の最期を看取れない
私だけ
私にいのちが生きた
此処はただの箱なのに
だからこそ笑えない
上手く笑えない
家の近所と駅、通学路からE組まで、三列目の机が私の世界のすべて
将来の像に並ぶ文字、まだ遠い時代のお話
制服ごと身体を校舎に結えておいて
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