私は、マリー。
今からお話するのは、私の恋の物語・・・。
想像フォレスト~私とセトの出会い~
私はいつも一人ぼっちだった。
本を読み、縫い物をし、お茶を入れ・・・
そんな楽しみしか、私にはなかった。
外に出たくても怖くて出られない。
それは、昔の苦い思い出があったから。
「私たちはメデューサなのよ。目を合わせると、石になってしまう・・・」
小さい頃から何度も何度も言われてきたこの言葉。
この母の言葉は、今も耳に残っている。
母は、人間の男の子に襲われ、ケガをした私を救うために、命を落とした。
母との思い出はとっても少ない。
「はああ・・・」
机の上にあった日記を手に取る。母の形見だ。私が生まれた頃から、母はこの日記を書いていた。
あるページを開く。
『マリー。あなたはどんな人に出会って、どんな恋に落ちるのでしょうか。それがとても楽しみ。』
お母さん、私、恋なんてできそうにないよ。
だって、いい男の子に出会うどころか、人と会ってはいけないんだもん・・・
窓を眺めて、また一つ、ため息をついた。
「・・・誰か、いるの?」
えっっ・・・
お、男の子の声がする・・・
慌てて立ち上がり、部屋の隅に行こうとする・・・
ガッ バタンッ
「い・・・いたぁ」
椅子に足を絡ませてしまい、ころんでしまった。
どうしよう・・・
「あけますよ!」
あわわわわ・・・どうしよ、た、大変!!!
部屋のど真ん中だけど、しゃがみこみ、目を塞ぐ
ガチャ
簡単にドアは開いた。
私のバカ!戸締りをすっかり忘れてた。。
「どうしたの?」
上から男の子の声・・・この人が石になったらどうしよう。帰ってもらわなきゃ。
「あ・・・あのっ!信じてもらえないと思うけど、目を合わせると、い・・・石になっちゃうよ・・・?」
「・・・ふっ}
え・・・なんで笑うの。
「僕だって石になってしまうと怯えて暮らしてたんだ。でもね、世界は案外、怯えなくても良いんだよ?
さあ、顔を上げてごらん?」
私はゆっくり、顔を上げた。とってもかっこいい男の子だった。
彼はにこっと笑った。
「ほら、石になってないでしょ?」
「ほ・・・ホントだ。」
なぜか、涙があふれてきた。安心したというか、うれしいというか・・・
「ぼくはセト。君は?」
「ま・・・マリーです。」
「マリーか。よろしく!」
セトは白い歯をキラキラとさせて笑ってくれた。
その瞬間、私は彼に恋をしたのかもしれない・・・
「セト、よろしくねっ!」
セトは着ていたパーカーを私にかけてくれた。夏で暑いはずなのに、なんだか心地よい温かさだった。
世界に怯えてた私を救ってくれたのは、彼。
今でもそう思う。
セトがいるから、今の私がいる。
彼には好きな女の子がいるのかもしれないし、もしかしたら彼女とかいるかもしれない・・・
振り向いてくれなくたっていいから。彼が私を救ったという事実だけで十分だから・・・
~セト、大好きだよ~
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想