いつまでも同じ関係であった物がある日突然変わる・・・
そんな変化のある声劇的に作りました。
■待ち合わせ
【男】
「よっ、相変わらずお嬢様は時間軸に縛られない生き物だなっ」
【女】
「あら、せっかく波寄る男どもを振りほどいて辿りついたってのに、ご挨拶よね」
【男】
「はぃはぃ、んまぁそういう事にしといてやるよっ、んでとりあえず行きたい所ってどこよ?」
【女】
「そうねぇ、こんな道端であんたみたいな野蛮人と話してたら絡まれてると思われて警察とかきちゃいそうだもんねぇ、まぁ行きましょうか」
【男】
「いや、こねぇし・・・くっ!って!もう先行ってるし・・はぁ、とりあえずついていくか」
■ペントハウス内
【男】
「へぇ、こんな都会のど真ん中にこんな静かな貸切のゲストルームがあんのねぇ・・・
ここ高いだろ・・」
【女】
「そうねぇ、まぁお偉いさんが昔大使館員の接待の際に使用していたペントハウス
だしねぇ。 そ・れ・な・り・よっ ふふっ」
【男】
「んんっ・・・じゃまぁ、とりあえずご無沙汰って事で飲むかっ」
【女】「そうね、お久しぶり 乾杯」
【男】
「あーあ何かさ、最近ずいぶん知り合いとか仲間とか減ったよなぁ」
【女】
「ん?どうしたの、急にそんなに感傷的なセリフはいちゃって、歳とったんじゃない?(微笑)」
【男】
「んー、秋・・・だからか?(ニヤッ)ってか歳とったとか言うな!」
【女】
「何それ?らしくないわねぇ、まぁ確かに最近は周りもやれ結婚だの仕事が急がしいだのって昔は朝方まで酔ってぐだぐだな話をしたりって感じだったけどねっ何かいつの間にか連絡も取り合わなくなっちゃって、気が付いたら腐れ縁のアンタと他数人だもんねぇ」
【男】
「ん~何が足りねえのかねぇ、長い付き合いの中でさ、いったい何があったらずっと一緒にいられんだかっ」
【女】
「うーん、何だろうねっ やっぱり刺激なのかなっ」
【男】
「は?刺激だって? って刺激ってどんな刺激だよっ」
【女】
「そうねっ、最初に出会ったというか初めて声聞いた時はさ、お互いの事とか見えないじゃない? それがやけに新鮮でドキドキして、顔を会わせる度に刺激的だったわぁ」
【男】
「あぁ、そうまぁ所詮妄想を膨らませて突っ走って、それが刺激だってんなら、もう卒業しちゃったわ」
【女】
「ふーんそう、じゃぁこうしたら・・・どう?」
【男】
「って!!・・・ちょ・・・!!・・・何・・・してんだよ・・」
【女】
「ふふっ、・・・この関係が終わる距離まであと、1cmだね・・・」
【男】
「からかうんじゃねぇよっ・・・」
【女】
「止めたい? 止めたくない?...止められる?」
【男】
「くっ・・お前酔って・・・」
【女】
「ねえ、知りたい?触れたい?...終わりたい?」
【男】
「って・・・ずりぃなぁお前・・・何だかわかんねーが、俺を試してるのか? それとも・・・んっ」
【女】
「この状態で・・・おしゃべりがいるのかしら?」
【男】
「ふっいらねーな・・・」
【ナレーション男】
突然訪れる蠱惑的(こわくてき)な扉を目の当たりにすると、時に人は距離を喪失する・・・
今まで見えていた色合いも、香りや温度すら急激に変えてゆく。
それはきっと・・・甘美で危険であるが故に、人は戸惑い、また抗いながらも
ゆっくりと堕ちてゆく定めなのであろう・・・それは自分も又同じだ・・・
【ナレーション女】
寂しさと刹那さは人を「境界線」という名の「保身」から、「刺激」という「欲求」へと突き動かしてゆくの・・・
それは自己を必要とされているのかという事を、再認識するが為の人の性という人もいるけど
そんな難しい話じゃないの、何をどうしても埋まらないと分かっていても、止められない本能・・・。
【男】「じゃぁな・・・」
【女】「じゃぁね・・・」
END
とある大人の現実日(リアルデイ)
声劇やショートストーリ用
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