居場所がほしい…
答えがほしい…
認めてほしい…
誰か・・・私を助けて―――――…
『Lonely girl』
AM7:30
しばらく憂鬱感に浸ってベッドから起き上がる。
制服に着替えて下に降りた。
リビングを覗き込むと酒に溺れた父親の姿。
母の姿は見えなかった。だけど、いつものことだ・・・
私は静かに学校へ向かう。
いつもと同じ景色 いつもと同じ時間 いつもと同じキモチ
私はいつもの様に校門で1つの溜息をこぼした。
そして歩きだす。
下駄箱を開け靴を中に入れて上履きを取り出す。
それは買って1ヶ月とはいえないくらいに汚れていて
濡れているはずがないのに濡れていた。
これもいつものことだ・・・
私は鞄から違う上履きを取り出して履いた。
それから教室へと向かう。
教室からはみんなの笑い声・昨日のテレビ番組の話・・・
「・・・いいなぁ・・・」
私はボソッと呟いて教室のドアを開ける。
さっきまでにぎやかだった教室とは思えないくらいに静かになってみんなの視線が突き刺さる。
みんなは私をみながらヒソヒソと話をする。
私はそれを聞こえないフリをして自分の席へと向かう。
でも・・・席がない・・・
ベランダのほうを見ると水をかぶった私の机があった。
呆然とした・・・
(・・・大丈夫・・・大丈夫・・・)
震える体に私は言い聞かせた。
「だっ・・・誰―?こんなことしたのぉー」
みんなと仲良くなりたくて笑いながらみんなに問いかける。
だけど・・・
「・・・」
答えは返ってこない。
(言い方が悪かったのかな・・・?)
「もぉ~本当にだーれ?今だったら許してあげるよー?」
少し言い方を変えてみたけれどやっぱり失敗・・・
私はみんなに聞こえるか聞こえないかの声で言った。
「私は今日も自虐行為します・・・」
(誰か・・・止めて・・・私を・・・助けて・・・っ!)
私は教室を飛び出した。
そしてそのまま走り続けた。
必死になって走り続けたんだ・・・
自分の部屋に勢いよく飛び込んで机の引き出しを開ける。
少し錆びたカッターを取り出して手首に当てる。
涙を流しながら私は腕から滴る雫を眺める。
―――――もう、やめなよ―――――
幻聴が聞こえた。
「いやだ・・・まだ私は頑張れる・・・いつこの状況が変わるか分からないから今はもう少しだけ頑張ってみるの・・・」
私はそう言って深い眠りについた―――・・・
私は手首に包帯を巻いて学校へと向かった。
教室へ入ると一瞬だけみんなの視線が私に向けられた。
それからみんなはまるで私がいないかのようににぎやかにしゃべりだす。
みんなの声を混ぜ合わせてみるけれど
今回は一番きつい・・・
(大丈夫・・・大丈夫・・・)
震える体に言い聞かせてみるけどもうだめみたい・・・
涙が止め処なく溢れてくる・・・
「お前なんていらねぇんだよバーか」
ある1人の男子が言った。
それにみんなは頷いたんだ・・・
私は教室を飛び出した。
学校から駆け出し
1つ目の町を越えて急な坂を必死に登り
大きな崖の上に立ちはだかった。
「もう消えさせて・・・もうャだよ・・・もう・・・」
助けての言葉は罪悪感に飲み込まれる
涙が止まらない・・・
―――――消えるくらいなら諦めろよ。お前には無理だ―――――
「ャだよ・・・諦めない・・・諦めたくないんだ・・・もうすぐ・・・もうすぐでこの状況は終わるんだ・・・」
涙を流しながら崖から飛び降りた・・・
だけど・・・
手首に伝わる人の手の感触・・・温もり・・・
それまで瞑っていた目を開けて上を見上げるとそこには君がいたんだ。
私を腕を必死に掴む君の手は大きくて・・・力強くて・・・
「・・・私・・・もう一回頑張るよ・・・」
涙を拭いて笑った。今の私の言葉には嘘はない・・・
私は君の手を握り崖を登った。
不意に近づいた君の顔・・・
背中に回された腕・・・
抱き寄せられた体・・・
「もう・・・傷つかなくていいよ・・・もう・・・頑張らなくていいんだよ・・・」
耳元で囁かれる君の優しい声に・・・言葉に・・・
安心したんだろうか・・・
それは幻聴だと思っていた声で・・・
「そうか・・・もう・・・傷つかなくていいんだ・・・頑張らなくていいんだ・・・」
君の大きな手が私のまぶたを優しく覆う
一筋の涙が私の目から流れ出た・・・
それから私は安心して眠ったんだ――――――・・・
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