12 リンの修行とレンのトラウマ その2
「それではリンよ。さっそく修行を始めようかの。」
「・・はい。よろしくお願いします。松本先生。」
「かーーーー!!!真田平八郎時貞である!!」
!!び、びっくりした。なんなのこの人。本名で呼んじゃダメなの?でもさっきお母さんは松本さんって呼んでたし・・。もういいや・・めんどくさい。
「すいません、真田・・平八郎、とちっ、時貞!先生・・。すいません!かんだのはわざとじゃないです!」
「よい、師匠と呼びなさい。」
「はい、師匠。」
「さっそく修行を始めるがいきなり武術を教えるわけにはいかん。その前に体と精神を鍛えねばな。」
「はい。」
「まずはこれじゃ。」
「ほうきですか?」
「うむ、まず、おぬしには掃除をしてもらう。」
「はぁ・・。」
「体をよく動かし、心を清らかにするのじゃ。」
「わかりました。」
言われたとおりに私は道場の掃除を始めた。しかし、汚い。なんと言うかどう見ても使われてない感じの汚れ方だ。ホコリのたまり方がすごい。
この道場って人が出入りしているのだろうか・・?それに私の他に生徒はいないの?なんかすごい怪しいなー。お母さん詐欺にあってるんじゃないのかなー。
私はそんな不安を感じながら掃除を続けた。もともと掃除は好きなので、てきぱきとこなしていった。そしてあっという間に3時間が過ぎた。
「うむ、そろそろよかろうて。綺麗になりおった。」
「はい、がんばりました。」
「おぬしには掃除の才があるようじゃの。」
「はい、掃除は得意です。」
「そうか、そうか。」
「それじゃ、もう拳法教えてくれますか?」
「いや、まだじゃ。」
「えぇ、今度は何をするんですか?」
「次はわしの家じゃ。」
「はぁ?」
「わしの家の掃除じゃ。」
自分でやれ。道場はともかく。自分の家は自分でやれ。そう言いたかったがまたさっきみたいに、かーーーー!!!って言われそうだったので黙っていた。
「こっちじゃ、来なさい。」
「・・・はい。」
「今日はこの部屋とこの部屋をやるのじゃ。」
「・・・今日はって・・。」
「基本的に床と家具にたまったホコリを掃除して、あと窓。むやみに部屋の物にはさわるでないぞ。引き出しとか開けては決してならぬぞ。よいな。」
そんなもの別に興味ないし・・。というか、目見開いて言ってこないで・・・。
私はまた師匠に言われたとおり掃除をした。そして夕方になり母が迎えに来てくれた。
「今日はご苦労であったな。帰ってゆっくり休みなさい。」
「ありがとうございました。来週こそは拳法教えてくれますよね?」
「それはおぬしの成長しだいじゃな。ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。」
成長って・・掃除やらされてるだけじゃないのさ。私次第というより、あんたの部屋の散らかり具合じゃないの!そう言いたいがまた、かーーーー!!!がきたら嫌なので黙っていた。
「リンちゃんいろいろと教わったみたいね。よかったわねー。」
お母さん・・・私は何も教わってないよ。この人、毎月のお月謝の無駄かもしれないよ・・。一体いくら払っているの・・・。
「それじゃ松本さん、またお願いしますね。」
「よろこんで、それではリンよ、またな。」
「はい、ありがとうございました。」
松本って言われてるのにかーーーー!!!って言わない。なんで私のときだけ・・。
そして次の週も結局掃除だけで終わった。
12 リンの修行とレンのトラウマ その3へ続く
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