今日も店のベルが鳴る
路地裏の小さな立て看板
ここはしがない仕立て屋です
「さぁ、アナタの希望を聞きましょう

「ちょっとデートに行くのです」
そんなアナタに仕立てまするは
色気引き立つ深紅のドレス
「これでデートは成功です」

けれど深紅のドレスは気付けばボロ布1枚で
男を寝取った性悪女にはその程度がお似合いね

ここは仕立て屋小さな老舗
アナタの希望に沿いますように
しっかり見立ててあげましょう
その生き方に見合う服を
苦情は一切お断り
それがここのルールです
さぁ、次のお客様は?

今日も店のベルが鳴る
ドアをくぐるはメガネの男
ここは小さな仕立て屋です
「さぁ、アナタの希望を聞きましょう」

「特別な商談があるのです」
そんなアナタに仕立てまするは
黒いスーツと革の靴
「どこにも負けない品質です」

けれどスーツは穴だらけ靴も底は擦り切れ放題
客を騙す悪徳業者にはその程度がお似合いね

ここは仕立て屋客を選ばず
アナタの意見に沿いますように
しっかりこの目で見定めましょう
その生き様に見合う服を
料金は一括払い
それがここのルールです
さて、貴女の生き様は?