私は、縛られるのは嫌だ。
窮屈で、つまらない。
出来れば、外に出たい。
この屋敷から、使用人から、そして…
叔父から。
「貴方が先攻でいいわよ。」
「いえ…遠慮します。お先にどうぞ」
別にどちらでも良かったのだが、メイコさんの戦い方が、というか、武器を使った戦いが…見たかったから。
「仕方ないわね…じゃあ、私からね。負けても後悔はしないでよ?」
「大丈夫です。しませんから。」
大丈夫と信じていたのだが………
肩に痛みがはしる。
見ると、右肩の布が破れていた。
わずかに血が出ている。
「これが…メイコさんの…武器…」
「どう?鋭いでしょ?このレイピア使いやすいのよね~」
メイコさんの強さが分かった。だけど
私も負けてられない。
まずは毒性がない薬から
メイコさんの近くに回り込み、そっと薬をひと撒き。
そして聞こえないように呪文を唱える。
ほら、魔法陣の出来上がり。
「ふーん…これが魔法陣ねぇ…」
「ただの魔法陣じゃありませんよ。罠の魔法陣です。入ってしまったものは木の妖精に囚われ飲み込まれてしまいますよ。」
「えっ…」
メイコさん、絶句。
まぁ、実際嘘なんですけど。
なぜなら、この人を、傷つけたくないような気がしたから。
会った時、そう感じた。
この人は、もしかしたら、私の"お姉様"かもしれないって。
私が、初めて心から尊敬した人だ。
ぱっと魔法陣を消すと、メイコさんはその場にしゃがみこんだ。
「焦ったわ…あれ、本当の魔法陣だと思い込んじゃったわね。私の負けよ。というか勝負があっさりしてるわね(笑)」
「あの…条件変更いいですか?」
「え…まぁいいわ。負けたもの。なんでも言って頂戴。」
「では…
1.私と一年後、不思議の国を探す旅に出ましょう
2.メイコさんのこと、"姉様"と呼ばせてください
以上です。」
「あら…姉様…ふふっ」
真面目に言ったつもりが、笑われてしまった。
「あらごめんなさい。いや、実は私に弟たちが居たんだけど、一回も姉様なんて呼んでくれなかったから…りおんがなり気に可愛いなって思ったのよ。」
可愛い…
初めてじゃないけど、この言葉を言われて、心が暖かくなったのは初めてだ…
「じゃあ、一年後の春にねにね。場所は…街の時計塔の下にしましょう」
「はい。また会えること、楽しみにしています。姉様!」
姉様が出来ました。
魔導師りおん・15歳
これから四季が、訪れなくなるとも考えず…
コメント1
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絢利
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待ってました!
りおんさん強いな…((
2013/01/25 17:01:31