第五章
夜の闇の中、ミクたち三人と、夜の王と夜の国の人びとはヴォルケーノ火山のダーク・ストーンのもとへ向かいました。
火山に近づくと、あたりにはモンスターたちが歩き回っています。
夜の王がいいます。
「これはひどいね。
確かに世界の危機がせまっている。」
そういうと、王は剣を空にかかげ
「夜に帰れ!!」
と叫びます。
すると、目の前のモンスターたちが暗い光になって夜の闇に消えます。
「やっぱりね。
この剣は夜の属性を持つ異形のものたちを、夜の闇に帰すことができるんだ。
悪夢から生まれたモンスターたちは、剣の力でどうにかできる。
ミク、道は僕らで切りひらくよ。」
そういうと、夜の王と、夜の国の人たちはモンスターたちと闘い道を切りひらいていきました
ブリキンが、
「みなさん、なかなかやりますね。」
と気楽な感想を述べると、ルビィが、
「あなたもフラワーワールドの戦士なんだからがんばりなさいよー。」
といいます。ブリキンはだまり、ただのブリキ人形になったふりをしました。
ミクは、
「ブリキン、かたまっちゃった。
大丈夫だよ。ブリキン。
ただのブリキ人形でもじゅうぶんかわいいし。」
と言って、ブリキンの頭をなでました。
ブリキンはミクの言葉に喜ぶと、フリーズ状態から脱して、踊り始めました。
夜の王は息を切らしながら、ミクたちに言います。
「ミク、僕たちの役目はここまでだ。
あとは君の歌で、ダーク・ストーンを悪夢と悲しみから解放するんだ。
世界を頼んだよ。」
夜の王がそう言うと、ミクはうなづきました。
その時、ダーク・ストーンの声がその場のみんなに聞こえました。
「助けて、悪い夢から僕を助けて。」
ミクは、
「今、助けるわ。」
そう言って、歌い始めました。
僕らは知ってる
心をてらす光を
暗い闇でも
私の声とあなたを感じて
歌の翼をひろげて
光の軌跡をえがいて
明日の輝きへ
ヴォイス アンド ハート
光のらせん
ヴォイス アンド ハート
いま感じるままに
ミクの歌が響きわたると、ダーク・ストーンは暗く黒い輝きから金色の美しい輝きに変わりました。
金色の石は言います。
「ありがとう、ミク。君のおかげで、悪い夢からさめることができたよ。
本当は、僕は間違って天から落ちてきた Heaven’s stone なんだ。
なれない地上にいるうちに、世界の悲しみにとりつかれてしまったんだ。
ありがとう、君の歌のおかげで目を覚ますことができた。
「よかった。」
ミクが言います。
「よかった。」
ルビィも言います。
「よかった。」
ブリキンも言います。
Heaven’s stone はみんなにお礼を言いました。
「ありがとう。ミクの歌が僕の心に光をくれたんだ。
僕の心は深い悪夢の闇の中にいた。
そこにミクの歌声の光が差しこんで、僕は自分を取りもどすことができたんだ。」
ミクは
「うん。 Heaven’s stoneさんのために歌ったんだよ。
悪夢からさめますようにって。 元気になってくれてうれしいな。」
と言います。
ルビィも喜んで言いました。
「Heaven’s stoneさんは無事元気になって、これで世界の危機は救われたわ。
よかったね。ミク。」
ミクはうなづきます。
「うん。」
ブリキンも、
「よかったー。」
と声をあげて喜びます。
その時、夜の王が声を張り上げて言いました。
「いや、まだだ。 まだ悪夢の力が、ここをただよっているのを感じる。」
王がそう言うと、星空に黒い雲のようなものがわきあがり、夜空の星々を覆い隠していきました。
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