私は何のために生きているんだろう?
父さんも母さんも私を愛してはくれない。
いつも兄さんや姉さんのことばっかり。私のことは邪魔者扱い。
きっと、二人目の娘になんか興味がないんだ。
私がもっと早く生まれてたら、姉さんみたいに愛してもらえたのかな。
そして、ある日…
「ねぇ、母さん… 何してるの…?」
「あなたを隠す準備よ。」
「…え?ど、どういう…意味?」
「さようなら。」
…人生なんて、椅子取りゲーム。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「父さん、母さん、生まれてきてごめんなさい。
兄さん、姉さん、それじゃあ、またね。」
私はそう呟き、兄さんや姉さんのものとは
比べ物にならないような、冴えない靴の踵を踏み潰した。
見栄張ったサイズで、型紙を取る。
どうせ、姉さんのお下がりだけどね。
何だっていいんだ、代わりにさえなれば。
「愛されたい…」
私は、うわ言のように呟いた。
手には、両親からの唯一のプレゼントであるテディベアを握りしめている。
でも、もういいんだ。こんな物、ズタズタにして捨ててやる。
…私みたいにね。
こんな私を救ってくれる、全知全能の言葉を、ほら、聞かせてよ。
その言葉が聞けるなら、もう、体なんかいらない。
ねぇ、私の何がいけないの?
私の心のつぎはぎの隙間を、埋めておくれ…
「皆さん、さようなら。先生、お元気で。」
一度言ってみたかった言葉だ。でも、私は学校になんか行けなかったから、
そんな別れも経験していない。
別れのときって、どんな気持ちになるんだろう。考えていたら、
胸が高鳴ってきた。高鳴った胸に、涎が垂れる。
…バカバカしい。
正直者は馬鹿を見るんだ。こんなふうに想像したって、
誰も私を助けてはくれないんだ。
…もういっそ、殺してよ。
こんな傷じゃまだ足りないよ。この人形もろとも、串刺しになって死んでやるんだ。
こんな私を納得させる、全知全能の言葉を、ほら、聞かせてよ。
その言葉が聞けるなら、もう、体なんかいらない。
ねぇ、私の何が気に入らないの?
私の心のつぎはぎの隙間を、埋めておくれ…
もう何も残ってないよ。存在も、理性も、全部引きはがされて。
この人形を引き裂いて、糸屑の海へと消えていきたいよ。
もう、私はどこにもいないことになってるんだ。
帰る場所すらどこにも無いんだよ!
「私の存在を証明してよ!」
私は叫ぶ。
この嘘だらけの体を、完成させたいよ。そのためなら、何でもしてやる。
さあ、どうしたらいいの? 今、回答を!
このままのたうち回って生きるの?
奴隷みたいに飼われたいの?
何もない、嘘の存在?
違う、そんなの私じゃない!
人形の縫い目とともに、私の心のつぎはぎも、ほどけて、引きちぎれた。
まるで布でも裁つかのように、
煮え立った日々で、この命を少しずつ削っていく。
どうせ私なんかどうだっていいんだ。
私なんかいなくたって、
誰だっていいのさ、代わりになれば。
コメント2
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ご意見・ご感想
ゆゆけ
ご意見・ご感想
解釈力すごいですね!
私もやってみて投稿してみたんですけど、、、、、
全然東京テディベアって感じがしなくって前半の方の解釈もちゃんとできてなくて、、、、、とにかくインカのめざめさんすごいですね!!!!
2017/10/12 16:04:47
ひぃちゃむ
ご意見・ご感想
そういう解釈もあるのですね!
今まで分からなかったので参考になりました。
2012/05/12 13:29:19