※注
wowakaPさまの「アンハッピーリフレイン」を聞いているうち
頭の中をぐるぐるし始めた自己解釈です。
吐き出したくて仕方がないのですがPV作る技術もないので小説で。
多少の流血表現がございます。妄想も暴走しております。ご注意をば。
読んだ後の責任は負いかねます。
人質として“蛙の国の王様”を捕縛した。
噂は瞬く間に広がり、ハートの国は歓喜に包まれた。あれから数日経ったが、歓声は止むことを知らない。城のテラスから国民の姿を見下ろしていたハートの女王は、ちらりと視線を横に向ける。
背中の方でひとまとめに腕を拘束された、蛙の王様。足には重そうな鉄の枷がはめられている。戦場から連れ帰った時のままの服は、遠くからでもはっきり惨めに見えることだろう。
「晒し者にされる程度で済んでありがたいと思いなさい。でなきゃあんた、この国じゃ、いつ八つ裂きにされてもおかしくないわよ。血の気の多い連中ばかりなんだから、やんなっちゃう」
「……」
蛙の王様は何も答えない。テラスの下から響く、蛙の王様に向けられる罵声に耳を傾けているのだろうか。それともひしめく国民を見下ろしているのだろうか。着ぐるみ頭を被ったままでは、視線が何処に向けられているのかさえ不明だ。
ハートの女王は彼から視線を外し、自分が死ぬのはあと何日後だっただろうかと考える。自分が女王でいる間はまだいい。だが、新しい女王が自分と同じように蛙の王様を生かしておくかどうかはわからないのだ。
「……ま、いいか。どうせ、あんたも私と同じく、数日の命だもんね」
「……」
蛙の国の民は極度に寿命が短い。確か、彼くらいの年齢までが平均寿命だったと思う。その証拠に、ここ数日で蛙の王様は見るからにやつれていた。着ぐるみ頭からわずかに覗く顔の色も芳しくない。
運が良ければ、新しい女王に殺されたり、血の気の多い国民に八つ裂きにされる前に天寿を全う出来るだろう。故郷に骨を埋められないのは哀れだが、仕方がない。
「あんた、」
久方ぶりに蛙の王様は言葉を発した。ひび割れた、けれど静かな声に、ハートの女王は振り返る。着ぐるみ頭はテラスの下の方を向いたまま、言葉を紡ぐ。
「何故、俺を殺さなかった」
「利用するため。当然でしょう」
「あんたの余命は残り三日だ。そもそも、利用する時間がない」
「ああ―――あと三日だったんだ」
数え忘れていた、と呟く。初めは鼻で笑った蛙の王様も、ハートの女王が本当に期限を把握していなかったのだと感じ取ると、絶句した。
「私だってね、最初は恐かったわよ、そりゃあ。女王になった興奮は一時のもので、その後はひたすら死が恐ろしかった。でも、人っていつしか死ぬのよ。女王でなくても、ね。戦場では、法律なんて関係なく、人は死ぬ。目の前で。呆気なく。いとも簡単に。今日を生きる。その他に、考える余裕なんてない」
戦いの中ですり減った恐怖、今はもう、ひたすら目の前の敵を排除するだけ。いつしか命のカウントダウンを刻むことすら止めていた。
生きる。
とりあえず、今を。今を、生き延びる。
「……おっと、話が逸れたわね。私があんたを何故生かしたか、だけれど」
「忘れていたんだろう、期限を」
「ええそれもあるけれど。……女王になって初めての戦の時。蛙の王様を初めて見た時。うっかり一目惚れしたの」
再び蛙の王様は鼻で笑った。だがしかし今回もまた、ハートの女王の本気を感じ取り、再び絶句した。ハートの女王は着ぐるみ頭を撫でながら、悪戯っぽい笑みを浮かべる。彼女の年に相応しい表情だが、口にする言葉は、それとはほど遠いものだった。
「だからね、あんたを捕まえるのに、私は一生分の運を使い果たしたのよ。きっと。でもいいわ。どうやら、あんたと一緒に死ねそうだから」
あと三日。
ああ、なんて幸福な三日だろう。
呟く言葉に、答えはない。
アンハッピーリフレイン 自己解釈してみた【02】
一日で終わらせる!
と謎の情熱を持って、リアルタイムで書き殴っております。
誤字脱字がありましたらばそっと教えていただければ幸いです。
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