「…本当に行くの?」
「あぁ。」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。心配するな。」
得意げに呟いた。
こんな強がり、ミクにはバレてるんだろうな…。
『次は……』
アナウンスが告げるのは、俺が乗る電車。
別れが近付く。
サヨナラを言うために口を開く。
だが、ミクがそれを遮った。
「クオっ、行かないでっ…。」
泣きながらそう言うミクを見て、固まってしまった。
「……ごめんな…。」
やっと口から出たのは、謝罪の言葉だった。
「っ…私が悪いのっ。クオが謝る必要ないよ…。」
俺は黙ってミクの頭を撫でた。
…泣き顔も暫くは見れないんだな…。
「もう会えないって訳じゃないんだから。」
「でもっ…。」
「大丈夫。」
「……うん…。」
返事を聞いてから、ミクにキスをして、電車に乗り込む。
「じゃあな。」
ゆっくりとドアが閉まる。
声が遮られていく。
ミクが身振り手振りで伝えてくる。
俺にはわかる、「いってらっしゃい」のサイン。
ミクの姿が少しずつ小さくなっていく。
「別に寂しくなんかない。」
呟いてイヤホンをつける。
「何時の間に…。」
聴こえてくるのは、ミクの歌声。
こっそりミクが入れたのか…?
歌声を聴いて、浮かんでくるのは、ミクとの思い出ばかり。
初めてのデートのこと。
一緒に夏祭りに行ったこと。
ぼんやりと目の前に浮かぶ。
「っ!」
涙が一滴こぼれる。
…何で泣いてるんだ?
悲しくなんてないハズなのに…。
溢れる涙が抑え切れない。
「…絶対っ…絶対、戻って、来るからっ…。」
この声はミクには届かない。
それでも、この約束は守るから…。
コメント1
関連動画0
ご意見・ご感想
禀菟
ご意見・ご感想
くそ…
文才でチキン肌…
上手いなこんにゃろ…!!
2011/08/01 21:46:08