午後6時13分
石像(スタチュー)から微細反応――

たった一人 機械の前で 計測を続ける毎日
ただ一つ その成果にて 判ったことがある

石像(こいつ)は生きている

――我々は我々の生きた証しとして この記録を遺す――

ある夜 見つけ出したレポートに 彼は釘付けになった

そこに 綴られていたのは お伽噺
子供の頃聞いたお伽噺


――昔々 創成を司る神と 破壊を司る女神がいました
(我々は 破壊の女神を石に封じ 創成の神をヒトに封じた)

――二柱の神々は争い その戦いによって この世界が生まれました
(神々は互いを愛していた このままではバランスが 崩壊してしまうためだ)

――創成の神は争いに勝ち 破壊の女神を 遠いところに封じ込めました
(封印が解け 再び二人が 出逢ったときに この世界は終わりを告げるだろう)

――めでたしめでたし
(忘れる事なく)


視線を 上げる
映るは 女神
その目は 何処か
憂いと 寂しさを 纏わせ……

男は 杖を 握りしめた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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監視者の憂鬱

死ぬことの無い少女
同じ魂のまま転生し続ける少年
少女を封じる男
少年の魂を追い続ける女
そして終わる世界。
の第三部、監視者の憂鬱です。

彼は縛られた自分の人生と、自分の生き方を貫けなかった神々に同情してしまったのかもしれません。

閲覧数:85

投稿日:2011/07/09 20:13:23

文字数:442文字

カテゴリ:歌詞

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