片瀬アキラ

午後６時１３分
石像(スタチュー)から微細反応――
たった一人　機械の前で　計測を続ける毎日
ただ一つ　その成果にて　判ったことがある
石像(こいつ)は生きている
――我々は我々の生きた証しとして　この記録を遺す――
ある夜　見つけ出したレポートに　彼は釘付けになった
そこに　綴られていたのは　お伽...

いつからこうしていたのだろう
終わることの無い戦いに
身を任せたのは……
『待っ　います　いつま　も……』
ノイズ混じりのその声は
いつも頭の奥で響く
何を待つのか
誰を待つのか
何故か『ボク』が目覚めるときは
決まって戦局は不利で...

何も見えない闇のなかで
冷たい手枷がカチャリと鳴った……
『あの星が消える前に　キミを見つけ出すから』
幾星霜も昔の記憶
交わされた拙い約束
忘れないから
忘れないから
幾度となく繰り返される戦い
焼き払われる街並み
忘れたのかな...

真夜中に浮かぶコンビニの灯り
バスを待つ親子の繋がれた手と手
涙の夜に渡されたココア
何故かホッとするんだ
そのあたたかさ
誰かが待ってくれてる
誰かに必要とされる
誰かが支えてくれる
目に見えない繋がりこそ
求めていた優しさで...

コノ想イ乗セ　翔ケヨアノ空
果タセヌ願イ　捨テテ逝ケ
コノ想イ込メ　翔ケヨアノ朱（あけ）
生カスタメニ　散リ行ク華
明日ノ命ヲ繋グタメニ
我等ハ　果テヌ
戦いの先に　あるものは
どうしても　得難き物か？
ただ語りあって　笑いあう
ただそれだけの　事だろうに...

あたたかい日差しに　キミの笑顔がまぶしくて
ふりかえった日々もまた懐かしい　笑顔になれるね
キミの植えた花を　一緒に育てよう
たとえそれが　永久（とわ）に咲けない華だったとしても
終わらない愛を　キミと与え続け
いつかきれいな　花を咲かそう
その花はどんな　色で咲き誇り
僕達の明日を　彩るんだろう
...

あの日の暗がりの街角　襲い来る痛みに
もがいて　ただ手を伸ばしてみても何も掴めない
たとえキミが今も
此処にいてもこの気持ちは
伝エラレナイノ
幾つもの闇を越え　キミを見つけても
あの日のボクには　もう戻れない
真紅（辛苦）に染まる指が　キミを包むのに
耐えられないから
今でも夢に魘（うな）されてる...