夏の終わり、秋の始まり、

山に行った。

海にも行った。

イカ焼きもたこ焼きも食い尽くした。

かき氷との死闘は忘れない。


やり残したことはない。

なのに、こんなに胸が苦しくなるのはなぜ？



夏休みが終わる。あと三日で。

まだ胸の苦しみは癒されない。

夏休み終わったら、病院にでもいこうかしら。



ふと鳴った固定電話。

「宿題の数学教えてくれ。」

いやちょっと待て、宿題？What?

血眼で鞄を漁り、探す必要も無くそいつは出てきた。

胸の痛みの原因がわかった。

今度は頭痛と吐き気に襲われた。



宿題が終わらない！

海に行ってる場合じゃなかった。

自由研究？

なんでそんなものまだあるの？

絶滅したと思っていたのに。

宿題が終わらない！

大切な物は色々終わってるけど、

そうだ、ここに病院を建てよう。



数学の先生、滅茶苦茶怖いんだって！

生物と国語は嫌味臭いし、

っていうかこれ本当に現代社会で使うの？

文法なんて何で使うの？



夏休みが終わる。あと三時間で。

宿題はまだ三割も終わってない。

私、この宿題を無事に終わらせたら、加藤君に告白するんだ。


「姉ちゃん。ちょっとこれ見て！！」

弟にラリアット。

「アンタ宿題終わってるの？！」

今やってんだろ。母さんにアッパー。

あぁ、宿題が終わったら、今度は私が終わる番かも。



宿題が終わらない！

私の右手が火を噴くぜ。

時計の針が無情にも、

私の命を削っていく。

あと五分で、夢が終わる。

宿題が終わらない！

走馬燈が、頭をよぎる。

やめてくれ、公式が思い出せない。



瀕死で学校へと向かった私、

奇跡的に宿題は全部終わった。

さぁ、門をくぐって学舎へ。





［夏休みにつき、休業。］






私はそれから丸三日眠り続けた。