触れれば壊れてしまう程　脆い姿が認められずに
目に付くものに縋り付いて 吐いて 息する
他人事の悲劇を愛して　私事の喜劇 投げ付ける
主役にはなれそうにないね

折り目を広げては伸ばして　汚れを塗り潰しては隠して
綻びを見つけては繕う毎日です
優しさはきっと臆病で　厳しさはいつだって勇敢で
自己中心な善人です

踊ってしまえば楽なのに
狂ってしまえる程 利口じゃなくて
繰り返した日常の隅っこで
ずっと待ってる 動きもしないで待ってる
差し伸べられた手を握る勇気も無いくせに　ねえ？

誰にも気付かれないように　ステージの上に飛び乗って
幕間に役を演じる様が　やけに手慣れて堂に入ってんだ
涙を拭く仕草でさえ　芝居掛かってて五月蝿いな
忍び足で君の前を歩いてみただけ

撫でれば崩れてしまう程 中身のない自信を積み上げて
手の届かないものを手繰って寄せて 手放す
悲しみはいつも月並で 喜びはありふれたものばかり
ドラマになりそうもないや ほら、ね？

誰かの目に映り込むように 観客席で立ち上がって
他人の視界を遮る様が やけに滑稽で目を引いてんだ
拍手一つ鳴らす音さえ 耳に障って苛立つな
勇み足で泥の中を進んでゆくだけ

言葉ひとつに踊らされているような
何かにいつまでも執われたままで
ステージの幕は閉じたまま クライマックスは未だ続いてる
諦めても 足掻いても 何れ終ってしまうのに

誰もいない劇場で一人 スポットライトの真ん中で
幕切れに笑い興じる様が やけに誇らかで絵になってんだ
拍手一つ響く音さえ 聞こえない夜の即興劇に
探り足で拾った今をただ演じるだけ

君の側を歩くだけ