風が強く吹いている。
玄関から見える外の景色は、吹雪で真っ白だった。
「これ、ガキんときの合鍵。まだ持ってたんだ」
カイトは私の家の合鍵を右手に持って見せた。
鍵はもう昔の物で、錆び付いて所々赤茶色に変色している。
「てか、寒いし。中入るよ」
カイトは履いていたスニーカーを脱ぎ、家に上がった。
私は機械的にカイトについて行った。
「あー・・・あったけぇ・・・」
居間に入るなり、カイトが上着を脱ぎながら言った。
「何か・・・飲む?」
「おー。サンキュ」
私はコーヒーを入れて、テーブルに置いた。
カイトはコーヒーを一口飲んでから言った。
「さっきの話だけどさ、びっくりした?」
「・・・・」
びっくりするも何もない。
いきなり来て、いきなりあんなことを言われても・・・
「・・・何ガン?」
「んー?何だっけか、膵ガン?」
「すい・・・?」
あまり聞いたことのないガンだ。
「俺も驚いたよ。『すいぞうがん』っても言うらしいけど。まず、『膵臓ガンです』って言われて、すいぞうってどこ?って感じだったし」
「・・・・」
保体の授業、真面目にしておけばよかったかな、と思った。
「治るの?」
「ううん。もう治らない」
「もうそんなに進行してるの?」
「それもあるけど、もともと手術できない人が多いんだって。早期発見が難しいから」
「余命とか・・・言われてないよね?」
「ん。まぁ、一応・・・」
『一応』の後に続く言葉が『言われた』、なのか『言われなかった』なのかが分からず、緊張が走っていた。
「言われてはない・・・けどさ」
「そう・・・」
まだ、心臓がばくばくと鳴っていた。
「入院するの?」
「かもね」
「かもねじゃなくて、はっきりしなさいよ。あんたの体の事でしょ?」
「・・・っふ」
私が言うと、カイトは少し笑った。
「何笑ってんのよ」
不審に思い、カイトに言った。
「いや、メイコ姉に怒られんのとかいつぶりだろうなって」
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