次の日の放課後。

今日は臨時の職員会議がひらかれ、部活はなしになった。クラスの情報屋の亜北さんの話によると、昨日ニュースでやってた「簿価炉山ばらばら殺人事件」が原因らしい。

「え~怖くね?」

「やだ~心配~」

「俺らで犯人捕まえようぜwww」

といったたわいもない会話が今クラスでもかわされている。

「ね~今日リンちゃん家行っていい?」

急に視界の端からミクちゃんが滑りこんでくる。

「え・・・別にいいけど?」
「やったあ~~~~~!!」

急にミクちゃんが両手をあげて喜ぶ。
クラスの全員がいっせいにミクちゃんの方を向く。

「あ~・・・え~と・・・・・えへへへっw」

ミクちゃんが恥ずかしそうに頬を赤らめながら言う。
クラスの男子はミクちゃんを明らかにいやらしそうな目でみて、すぐ自分の関心事に戻っていった。

ミクちゃんはすごいクラスで人気だ。いいな~

「そろそろいこうか」
「うん」


























しばらくした後、ミクちゃんと私は「鏡音」と書かれた表札のある家の前に立っていた。
私はドアノブを軽くひねった。ドアは控えめな音を立ててあいた。

「ただいま~」
「おじゃましますッ」

リビングから声がかえってきた。

「おかえりなさい~あらあ~ミクちゃん久しぶり~どうぞあがって」

ミクちゃんは明らかに動揺した顔でおじゃまします、と小さくつぶやいた。
私は首をかしげたが、それ以上は深く考えなかった。
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部屋に入るとミクちゃんは早速、「作曲!!」と書かれたノートを取り出した。

「そういえば秋の学祭の曲作りのことなんだけどさ~これでいい?」

ミクちゃんが私に向かってノートを広げる。
私はノートを読み上げる。

「歌はいい 私の世界が広がるから 歌が好き 私を育ててくれるから(中略)」
「けっこういいと思うよw」
「ホント!!」

ミクちゃんが飛び上がって喜ぶ。

「そうと決まったからには、学祭必ず成功させようね!!」
「うん!!」

私たちはハイタッチをした。すごい楽しかった。
























あの後は、しばらくたわいもない話を少しして、お開きになった。
私はギターを取り出し、ミクちゃんの丸っこいクセ字で書き写してもらった歌詞と、TAB譜を傍らに置き、ギターのチューニングを合わせると、ギターを爪弾いた。

「なんでこんなにビブラート多いのwww」

一人でそんな突っ込みをいれながら、ギターを弾いた。


























次の日。私は今日珍しく朝練があることをすっかり忘れていた。
すぐに制服に着替え、ギターをひっつかみ、あわただしく家を出た。

曲がり角を曲がると、近所のおばさんに声をかけられた。

「リンちゃんおはよう~」
「おはようございます」





「そういえばリンちゃん、最近お母さんとお父さんを見てないけど、なにかあったの?」






私は最後までおばさんの話を聞かずに家へ引き返した。




すべて思い出してしまった。
でも私は認めない。









「認めない」ために、忘れてたのに。













ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

閉ざされた記憶 第4話(少し血表現あり)

ミクが人気者って、けっこう王道のパターンですよねw

閲覧数:333

投稿日:2011/08/05 00:07:01

文字数:1,513文字

カテゴリ:小説

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