―一歩城へ入れば、そこはキラキラと眩しかった。
数億はかかっているであろう、城の豪華な内装。さすが王子の主催の舞踏会の場だけある。天上から釣り下がるシャンデリアは、全面が大理石で出来た床に光が反射して、より輝いて見えた。壁や様々な所に格調高い絵画や、名の知れた有名な彫刻家のフロンズ像が置かれ、螺旋階段も手すりも床も綺麗に磨かれている。豪華な料理の数々の傍らには、演奏者達。そして、豪華なドレスを身に纏った群衆がくるくると舞うように踊っていた。
―その光景には、いくら私であろうとも、目を奪われた。絵本の中で見たような世界。でも、私はトゥルーエンドを迎えるお姫様じゃない。……私は、この手で、王子様を。自分の幸せな末路を断ち切らなければいけない。
ギュッと、私はドレスの上からそれを握り締めた。
と、一人の女性が嬉しそうに唐突に叫んだ。
「王子様がお越ししたわ!」
ワッと、特に女性達が歓声を上げて、下りてくる王子を見ていた。私もおずおずと、その輪の中へと入っていく。
……瞬間。私は一気に目を奪われた。
ここは、お伽話の世界なんじゃないか?
周りの声も聞こえない。
鮮やかな海の様な色の短髪は、まるで陽の光に当たった海面の様にキラキラと輝いている。スラリと高い身長に、程よく筋肉の付いた体系。切れ長の、髪と同色の青い瞳。端整な顔には、今は優しげな笑みが浮んでいた。
―王子様。その言葉がそのままピッタリ当て嵌まる様な人。
私はボーッと、その容姿に見惚れる。と、その途端王子と目が合ってしまった。
吸い込まれるような瞳。私は何故か、目が離せなかった。
唐突に、彼は私の方へと、階段の上から手を差し伸べてきた。私はそれを「一曲踊りましょう」の意と受け取り、スカートの裾をつまんで、その赤いカーペットの敷かれた階段を、3段飛ばしに上った。
「……貴方のお名前は?」
「私は、ミク・ハツネと申します。王子様」
あの整った顔立ちが、私のすぐ目の前にある。その事に内心焦りながらも、冷静を保った風に装って、裾を摘んで深々と頭を下げた。王子も、「僕はカイト・シオンと申します」と礼をする。
王子―いやカイトは、私が頭を上げるとニコリと微笑みかけ、手を差し出した。私はその手に自分の手を重ねる。
そして曲が始まると、私は踊り始めた群衆に混じって、ダンスを始めた。
ダンスは少ししかやった事は無かったけど、案外上手くできた。時々、視線が絡み合う。そのたびに、私とカイト両方が照れ笑いの様な表情になった。
幸せな時間が、ゆっくりと―今から人を刺殺するなんて思えない程、ゆっくりと流れる。それはまるで、彼を殺す前に私と彼との思い出を沢山作れるように、時間が許しているようだった。
―でも、幸せはいつまでも続くものじゃなかった。
サンドリヨン 其の弐
すみませんっ!更新遅くなりました!
文章がおかしかったりしていると思いますが、長い目で見てやって下さい。
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Hello there!! ^-^
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Thank you for supporting me...Introduction
ファントムP
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ご意見・ご感想
華龍
ご意見・ご感想
こんばんわ。華龍です。
あの曲がこんな風なミク目線で読めるなんて!!!
更新が待ち遠しかったです。
三段飛ばしってそう言うことだったのか!!!と、納得しました。
続きが気になります!!
これからも影ながら応援させていただきますね!
2010/04/17 23:46:09
haruna
またのご来訪、有難うございます!
自分も興奮しつつ書いてましたからね(笑)
長らくお待たせしてすみません;
はい、そういう意味です。……とてもアレな解釈で伝わりにくいかもですが、納得して下さったのならば良かったです^^
よし、コメ見たら小説書く気力が出てきました。
はい、暖かく見守ってやって下さい!
2010/04/18 10:56:36