A(イントロ）
そなたとわらわで貝合わせ　芍薬(しゃくやく）、牡丹に白百合（しろゆり）
　娘御（むすめご）匂うは香（こう）の香（か）よ
項（うなじ）は小俣（こまた）が切れあがる

つるっと滑った亀笑え　転がるお箸を追いかけ
　お堀に飛び込む殿御（とのご）たち　契りを欲して交わす賭（と）


S
勝ち負け嫌（ぎら）いの　童（わらし）は要らぬと
　右頬膨らし眼尻を上げては
刀を振りふり、ちゃんちゃんばらりと
　荒ぶるその様（さま）鏡に映して
切りつけ気が付く　ばらばら障子（しょうじ）
　かか様怒らせ脱兎のごとしよ

そなたとわらわで貝合わせ　芍薬、牡丹に白百合（しろゆり）
　娘御（むすめご）匂うは香（こう）の香（か）よ
項（うなじ）は小俣（こまた）がきりりよ


お手玉あっさり放（ほお）りなげ　飽きたら飽きたでそのように
　しっぽり蛇（じゃ）の目を携えて しゃりしゃり歩けば小雨路（こさめみち）

A
八方塞がり逃（の）がしゃせぬ　負け犬叩いて鳴かせよ
　手毬を放（ほお）って蹴り上げて
わんこと違（たが）えた、きゃいきゃい

S
目隠し手縄（てなわ）で　動けぬ御足（みあし）を
　来る猫ぺろぺろごろごろにゃんにゃん
おっぽをふりふり躾はせぬなら
　かわゆいその様目じりを下げるわ
ねんごろでもない衣擦（きぬず）れしゃらりん
　かか様怒らせ脱兎のごとしよ

A
八方美人はお嫌いか　白粉（おしろい）ぷんぷんはたいて
　姉御（あねご）と手合せ願おうか　どちらが勝つるかご覧よ

貝がらあっさり放（ほお）りなげ　　飽きたら飽きたでそのように
　しっぽり蛇（じゃ）の目を携えて しゃりしゃり歩けば小雨路（こさめみち）


S’
草履が脱げたと　騒げばみんなが
　ちやほやほやほやわらわに群れくる
詮（せん）無き駆け引き　つまらぬ道理（どうり）と
　まんざらでもない　稚（いと）けしお顔
　
A
鶴亀千万（つるかめせんまん）両（りょう）積めど
　そちらにわらわは靡（なび）かぬ　月影燦々（つきかげさんさん）ご覧あれ
お天道（てんと）さまにも劣らぬ

A'
負けたかな？あいこかな？　わらわだけが盛者（しょうじゃ）