あれから数日、私や他の参加者は【DollsGame】の会場へ向かう船の中に居た。所謂『豪華客船』だろうか、ホテルみたいな広さの船だった。海外ではなく場所が判らない様にわざとぐるぐる船旅をしてから目的地に行くらしく、ここはちゃんと国内らしい。豪華客船に揺られて数時間…。
「うぇええ…気持ち悪ぅ…。」
「大丈夫ですか?密さん…。」
「面目無い…うぇっ…。」
船酔いしたらしくよれよれな密さんの背中をさすりつつ、一抹の不安…。
「あ、私医務室で酔い止め貰って来ます。少しは楽になるかも知れないし。」
「いや、自分行く…。」
「その位出来ますよ、楽な姿勢で休んでて下さい。」
「待っ…!」
う~ん、密さんって過保護だよね…私が一杯甘えちゃったせいかも知れないけど…。でも船酔いでヨレヨレって、悪いけどちょっと可愛いかも。
「…って、医務室行くんだった。」
広い船だけど案内板もあるし、医務室の場所は直ぐ判った。船医さんとかやっぱ居るのかな?
「失礼しまーす…。」
「くー…くー…。」
誰か寝てるし…。勝手に持ってっちゃって良いのかな?えーと、酔い止め、酔い止めは無いなぁ、上の棚かな?
「…何探してんの?」
「酔い止めの薬を…。」
ん?
「こんにちは。」
真後ろに、顔。
「…イヤ――――ッ!!」
「痛ってぇ!!」
思わず平手打ちしてしまった。音も気配も無く背後を取られたので先ずびっくりした。私が殴った人は痛そうに頬をさすっていた。凄い金髪…外人さん?でも日本語話したよね…?
「あの…ごめんなさい、大丈夫ですか?」
「ふざけたのは俺だけどまさかビンタ来るとは…。」
「ごめんなさい!急に後ろに居たんでびっくりして…。」
「…ちょっと良い…?」
その人は急に手を伸ばし、私の髪を少し絡め取ると矢鱈キラキラした瞳で言った。
「完璧…。」
「はい?」
「染めた事の無い色、この艶、手触り、キューティクルコンディション…そして
大き過ぎないサイズ…トドメにこの顔!…ヤバイ理想的過ぎる…。」
「あ…あのー…?」
「俺の女にならないか?!」
無言でニーキックを喰らわせると酔い止めを持って医務室を後にした。
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