このところ忙しい日が続いていたから
一息ついた帰路にようやく気づいた

肌刺す空気が澄んで 吐く息が目に見えて
だいぶ厚着になったじゃないか
いつの間に 無意識に

かささぎが翼を並べて恋人を渡した
引き裂かれた二人を再び出逢わせた橋も
今では真っ白に霜が降りているのだろう
すっかり冬も深まって 季節は変わったね


かじかむ指をこすり 急がせていた足を
少しの間だけ止めて見入るのは

暖かい屋根の下へと みんなが姿を消して
閑(しずか)になって あとに残った
昼間とは違う街

かささぎが翼を並べた天の橋のように
引き裂かれる僕らを何度も出逢わせる道も
真っ白な霜に覆われて浮かび上がるのだろう
すっかり夜も更けて 一日が終わっていくよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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6.冬の夜更け

かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける(中納言家持/大伴家持)

※「ノベルアップ+」及び個人サイト「篝火」でも公開中。

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投稿日:2022/12/11 19:11:13

文字数:321文字

カテゴリ:歌詞

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