「ノベルアップ+」及び個人サイト「篝火」でも作品を公開中。 ※「ソナーズ」からは退会しました(個々の作品ページに記載が残っていたらすみません)
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投稿作品91作品
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源氏の君の兄上が
新たな帝になりました
東宮(こうたいし)さまになったのは
実は源氏のお子でした
賀茂の祭の場所取りで
源氏の君の奥方が
源氏の君の恋人の
牛車(くるま)を無理やりどけました
懐妊中の奥方に
物の怪様々憑きました...9.葵・反し
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一
源氏の君の異腹の兄が
ご即位あそばし しばらく経った
その母君は皇太后よ
ご譲位なさった父君は
中宮さまこと藤壺さまとは
臣下のように水入らず
二人の御子の若宮は
新たな東宮(こうたいし)となって
内裏で暮らしていらっしゃる...9.葵
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贈り物というほど大層ではないですが
昨日摘んだ若菜をお届けします
あなたが喜んでくださったらいいなと
思いながら摘んだ若菜です
摘む間にちらりちらり 雪が降り出して
想像してみてください 緑萌える春の野に
雪が降りかかる景色は 風流なものでした
暦の上では春が来ましたけれど
肌寒い日もまだまだあるよ...15.若菜をどうぞ
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叶わない恋だと思い知ったけど
君が好きなんだよ 好きだったよ ずっとずっと
諦めなくちゃとはわかっているけど
時間をください すぐには断ち切れないよ
悲しみに潰れそうな心 まるで被害者ぶって
死んでしまおうかなんて 本気で思ったりもして
でも結局生きてる僕は 大袈裟なだけさ
笑う頬に流れる涙が 強が...82.結局生きてる僕の泣き言
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桜花の宴(えん)がありました
母親違いの兄上の
東宮(こうたいし)さまのご所望で
源氏は一さし舞いました
その夜 源氏は藤壺へ
会いたい方に会えなくて
帰る途中に弘徽殿へ
一人の姫に出会います
藤の宴へと招かれて
あの夜の姫を見つけます...8.花の宴・反し
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一
桜花の宴が内裏であって
帝の左に東宮(こうたいし)さま
帝の右には中宮(きさき)即ち
藤壺さまのお席があった
東宮(こうたいし)さまの母の女御は
おもしろくなくお思いになる
右大臣さまの姫君で
帝の最初の女御となって
帝の最初の皇子(みこ)を産み...8.花の宴
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かつて華美を尽くした屋敷がありまして
それは見事な滝が庭園にありました
ほらごらん そのあたり 跡がわかるだろう
こう落ちてあちらへと続いていたんだね
もはやきらめく飛沫が散ることはなく
心地よいせせらぎも耳には届かない
むきだしの川底に草が生い茂る
在りし日の面影はどこに探せばいい
過ぎ去った景色...55.名こそ流れて
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紅葉の季節の催しで
練習のときも本番も
何より評判だったのは
源氏の君の舞でした
藤壺さまの若宮が
無事お生まれになりました
源氏の君にそっくりな
光り輝く皇子(みこ)でした
帝はたいそう喜ばれ
源氏は心騒ぎます...7.紅葉の賀・反し
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一
十月十日を過ぎた頃
朱雀の院と呼ばれる御殿に
帝がおいでになる予定
はっきりとした記録はないが
そちらにお住まいになっていたのは
どうも帝の父君らしい
臣下が大勢付き従って
舞など披露するのだが
外に出られぬ女御更衣(おきさきがた)は...7.紅葉の賀
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やりたきゃやればいいだけと
強気な顔の追い打ちより
うまくいかないものだねと
一緒の溜め息をこぼしたい
二つの切な望みを前に
一つだけだと選ばせる
冷たい世界に生きていても
せめて僕らは身を寄せ合えるはず
君がついに諦めると
同意した夢でも...君を一人で戦わせない
-
見せてあげたいなって つぶやきが聞こえてた
紅く彩られた秋の山
いいもの見られたねって ふたり笑い合うけど
分かち合いたい人が 他にもいるみたい
もう一度来なよ あの子誘って
この景色が変わらないうちに
聞いて もみじ葉よ もしも心があるのなら
ずっとそのままでとは言わないから
あの子を連れて戻って...26.もみじ葉よ待っていて
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病気の治療に訪れた
山で見かけた姫君は
源氏の君が恋い慕う
藤壺さまの姪でした
藤壺さまにそっくりで
おそばに置きたく思ったが
姫はまだまだ幼くて
とても妻にはなれません
源氏の君の奥方は
大臣さまの娘御で...5.若紫・反し
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一
源氏の中将 瘧病(びょうき)になって
祈祷を受けに北山へ行く
そこでみつけたある家を
そっと覗けば尼君と
かわいい姫がおいでになった
何故か姫から目が離せない
はっと気づいたその理由
源氏は叶わぬ恋をしていた
帝の妻こと父の妻...5.若紫
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困ってほしいわけじゃないけど
困っているのが可愛くて
弱い姿をさらけ出す
足掻くあなたが懸命で
眉をひそめる一方で
思わず頬が緩みます
中でも一際好きなのは
隣りで呆れる友達に
頼って縋るところです
今日も仲良い二人でいてね...不器用な人へ
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むかし帝に愛された
身分の低い桐壺さま
みなの嫉妬にさらされて
はかなくこの世を去りました
忘れ形見の光る君
聡く賢く愛らしく
誰もが笑みを誘われる
後ろ盾こそないものの
桐壺さまを懐かしむ
帝のもとに新しく...1.桐壺・反し
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一
いずれの帝の御代であったか
一人の帝に女御更衣(おおくのきさき)が
お仕えしていた頃のこと
まことの后は未だ決まらず
身分の高い女御もいれば
身分の低い更衣もいたが
帝に誰より愛されたのは
父を亡くした一人の更衣
内裏に数ある御殿のうちの...1.桐壺